2020年2月25-29日にベトナムに行ってきた。
初めてのベトナムの旅行を終え、久々に興奮している。おもしろい、おいしい、興味深い。片言の現地語、ありがとうとか数字を口にするだけで強面の若おじさんがニカーッとしたり、つっけんどんのお姉さんが微笑む。訪れた場所はハノイとハイフォンの2か所。ハイフォンは仕事で短時間の滞在だったので、以下ほぼハノイの情報と経験です。
建物と町並み
ハノイの街、政府系の建物は大きく立派。旧市街も郊外も石造りやそれを模したコンクリート製のちいさな建物がひしめき合っている。ガイドの兄さんによると税金対策で間口が狭い作りになっているとか。2間から3間くらいなのに高さは4−5階。バルコニーも着いている。新しい建物も古い様式に則って作っているよう。郊外の住宅も同様の様式。屋根が赤瓦のような色がほとんど。緑のなか、樹木森林は少ないが田畑のなかに彩りが楽しい。焼き物で有名なバッチャン村の建物もにぎにぎしい。それに較べると関空の帰り道バスから眺める灰色の景色はほんとう寒々しいというか、げんなりする。
いろいろな宗教や信仰の施設があるが、仏教寺院は六色仏旗を掲げているのでわかる。ハノイの郊外東方にある Vin University はスターリン様式の上だけという外観。2018年に着工、2020年から入学開始というのでオリジナルのデザインというべきか。
Vin University https://vinuni.edu.vn
ホテル
今回の旅行はHISのツアー「初夢フェア第2弾ベトジェットエア利用!自由自在ハノイスーペリアクラスホテル(部屋指定なし)に滞在」でホテルはおまかせだった。あてがわれてのは旧市街の北端にあるモンリージェンシー Mon Regency Hotel だった。口コミの評価はいろいろだが、まあまあよかったと思う。
部屋もベッドも広くてきれい。冷蔵庫、湯沸かし、テレビ、WiFiがある。冷蔵庫の飲み物は有料、上にある水ペットボトルは無料。口コミどおり水回りはいまいちで、洗面台の栓の上下が渋かった。大通りに面して騒音がひどいが夜はおさまる。問題は近くの広場でおこなわれる太極拳?か何かの集まりで、早朝からマイクで数を数える声が響く。これも目覚まし代わりのベトナム語のヒアリングと思えば悪くは無い。WiFiが遅いのが難点か。
立地は抜群で、とくにリムジンの乗り場に近いのがありがたい。
公式サイト http://www.monregencyhotel.com/en/home.htm
日本語サイト http://mon-regency.hotels-in-hanoi.net/ja/#main
クレジットカード
クレジットカードはほとんど使えない。使えたのは全国チェーンのコンビニ VietMart と Highlands Coffee、外国人向けのレストラン、日本人相手の蓮茶の販売店、村の観光客向けの瀬戸物店。セブンイレブンやショッピングモールでは使えるが、商店街では使えないという少し前の日本とおなじ状況。異なるのは交通機関でカードが使えないこと。実際に経験したのは鉄道駅とリムジン。
キャッシング
ATMでのキャッシングは3回それぞれ別の銀行のものを試したが、結局できなかった。最初の Ocean Bank の機械は少し古くてカードが戻ってこないのではとやや不安になりながら手続き。カードを挿入、ピン入力後に画面が暗転して反応せずタイムオーバー。店舗の前の機械だったので警備員に身振りで示すと、店に入れというがATMを試したかったのでパス。2台目 Vietcombank は反応して手続きは進んだ。しかしレシートを要求すると紙がないとアラートが出たので手続きを中断した。3台目はHSBC(香港上海銀行の後身)で建物のなかにあるマシンは見たことがないような格好いいもの。順調に進んで500,000ドンをキャッシング+手数料50,000ドンとのレシートも印字されたのにお金が出てこない。警備の人に言うと奥のカウンターに行けと手振り、カウンターではさらに奥の窓口へと案内される。男性の係員は外国で発行されたカードだから出来ないのだろうと言って、レシートをコピーして返金すると返してくれた。確認書がほしいと言うとそれはできない、レシートはVISAカードのものだからという理由らしい。もう信用するしかない、あるいはそもそもキャッシングされていないのかも知れない。と、思っていたら今日 2020-3-17 になってキャッシングのお知らせが配達された。無事返金されるのか。
両替
ということで空港で換金した40ドルでは足りず、最終日にキャッシングを試みるもできずハノイ駅から北上して線路を越えた右側にある Vietinbank で20ドルを換金した。見せに入るとずらっと並んだカウンターの行員(みんな女性)に較べ客がまばら、手空きの人が手招きしてくれドル札を見せる。すると反対側の窓口に行けというので、行ってみると管理職っぽい男性が出てきて対応、電卓をたたいて数字を見せて確認後にベトナムドンの札をくれた。空港の両替窓口ほどスピーディーではないが、さほど待たずに交換できた。銀行の窓口での換金は書類なし、身分証不要、レシートもなし、言葉も不要だった。
現地旅行社
今回の旅行はHISのフリープラン。現地の運営は SKYhub という会社で独自製作の地図の付いた小冊子とクーポンのついたプリントをくれた。せっかくなので乗ってやろうと最終日はビール1杯無料で料理の種類が多くて22ドルというRiuLiuというレストランに行くが店員はクーポンを知らず使えなかった。気の毒に思ったのか、会計は10%値引きしてくれた。後から SKYhub に聞いたところ、あらかじめ同社に申し込みが必要とのこと。クーポンや小冊子に書いてくださいと頼んだ。
街の構造
高級地区
ハノイ駅の東側は少し高級地区らしい。歩いた範囲では北側、Phan Boi Chau 通りの Hai Ba Trungから Ly Thurong Kiet の間は高級洋酒店が何軒かあり、MUFG(三菱UFJ銀行)が入る Pacific Place の向かい(北側)には高級カフェがあり、昼休み後半だったので日本人とおぼしきお姉さんもお茶していた。ヒマワリの種を食べている人が目立った。
韓国街
街の西側にロッテホテルや大宇(でーうー)ホテルが建つ地域は、工事の囲いにもハングルが書かれて韓国の都会のようになっている。経済的な存在感は大きいし、街の一角が韓国のコピーだ。コリアタウンではなく、現代の韓国の都市の複写。
ベトナムの大規模開発には日本のODAが相当入っていて、今回の訪問先でもハノイのノイバイ国際空港の新ターミナル、ハロン湾のバイチャイ橋などがそれにあたる。バイクもほとんどが日本のブランド。それにも関わらず、ハノイの街に日本の姿は見えない。あえて国の姿を示さなくとも、企業レベルでベトナム国民に浸透しているということか。日本におけるアメリカの姿のように。
ペット屋
見かけたペット屋は小鳥と魚。観賞魚店はホテルの近くに5軒集まっている存在。熱帯魚より金魚の方が多い感じで、全体的にも赤い魚が優勢だった。チラ見だったので詳しいことはわからない。
動物
動物がほとんど居ない印象。哺乳類の姿はタンロン遺跡でリスを1回、どこかで夕方にコウモリを1回見ただけ。コウモリなど大阪の郊外より少ない。鳥も少ない。鳴き声が聞こえたのはハノイ市街ではタンロン遺跡と中心部の聖ヨゼフ大聖堂の南にある庭園 Vườn Hoa Hàng Trống (フラワーガーデン)だけ。庭園の方が多く少なくとも4種類さえずりが聞こえてほっとする。ついでにアフリカマイマイの殻を見つけぞっとする。ハノイに虫もほとんどいない。蚊には1回も刺されず姿も見ない。アリも旧王宮で1回だけ。日本だと街中の植え込みでも普通なのに。それとも日本の印象が数十年前の札幌や京都で、現在の大阪や東京では違っているのだろうか。それからハエがいない。ちいさめのを1−2回見ただけ。あれだけたくさんの飲食店があるのに感心する。ゴミの回収を徹底しているのだろう。
自動車
自動車は韓国勢が優勢、バスはヒュンダイが席巻。初めてインドのタタモータースの車を見た。1トン位の小型トラック。ハノイとハイフォンの間にいすゞ自動車の工場があり、ハノイの町中のゴミ収集車はいすゞ製だった。もはや乗用車を製造していないのでブランドイメージを傷つけることもなく事業用車両に専念できる。韓国勢というと前に書いたとおり市街地の西方にはロッテセンターや大宇ホテルなどが集中する場所があり、そこだけ韓国ぽい景色になっている。ハングルを記した観光バスもあり韓国の存在感はある。比較して日本の影は薄い。
WiFi
情報どおりハノイのネット通信環境は良好。公共施設ではどこでも使える。鉄道も列車には装備がないが、駅では使える。ホーチミン廟前の広場、その東の官庁街の歩道上でもWiFiが飛んでいる。リムジンや旅行会社の送迎バスでも使えて結構早い。
ベトナム語
予習に使ったのはスカイプ教室とYouTube。スカイプはVVレッスンとカフェトークを1回づつ。日本語を学ぶハノイの学生が講師というVVレッスンは日本語もたどたどしく素人丸出しという感じ。発音のコツとか、自分の発音への評価など初心者が知りたいことがうまく伝えられない様子。ベトナム語がある程度でき、現地の人と会話を楽しみたいという上級者向けでしょう。カフェトークの Gyoku 先生は日本語も流暢で発音への指摘も的確、講師の画面を共有して教えるなどスカイプも使いこなし、質問にも丁寧に答えてくれて、たいへんよかった。
YouTubeでは、ベバさん BEBA VIETNAM language! 、それからカフェトークの先生がタンポポ Tanpopo Vietnamese という名前で公開してる手作り感満載のビデオがていねい。カフェトークと併用すると効果的かも知れない。おもしろかったのが英語/ベトナム語の Vierglish Fun の Vietnamese Numbers というビデオ。現地の30歳代の知り合が大笑いしていた。
BEBA VIETNAM language! https://www.youtube.com/channel/UCXPj5m7FgFILM_KND371_BQ
Tanpopo Vietnamese https://www.youtube.com/channel/UCee4aT2qPP6Q-4Pt19uEvVg
Vietglish Fun https://www.youtube.com/channel/UC7mu94v1zFZU8pgNX13dHsQ
YouTubeのベトナム語番組が伝えるとおり、挨拶は二人称を付けたものがよい。というか、効果絶大である。自分は50歳を過ぎているので、たいていの相手は年下となるので使うのは男女共用の em だけ。そこで、たとえ年下でも敬意を表して年上向けの二人称を使うこともあるというので、使ってみた。すると強面のホテルの若おじさんに「ありがとう Cảm ơn anh」と言うと、照れたような笑顔で返してくれた。ただし、これが効果的なのは男性のみ。日本語でいろいろ教えてくれた年下の女性(といっても若くはない)に Cảm ơn chị 使ったところ微妙な空気が流れ、em と言い直したら緊張がほぐれて互いに顔を見合わせ笑い合うという感じだった。ここらへんは日本とおなじ。
それから数字も使ってみる価値がある。外国人も多い食堂で forty と言われて食事を頼み、金額を知っているのにわざわざベトナム語で bốn mươi と確かめるとつっけんどんだったお姉さんが、可愛く微笑みをくれる。
観光対応
ハノイの旧市街には英語や外国語の案内看板はほとんど存在しない。ベトナム語の表記はアルファベットなので、ほとんどの外国人にとってタイや韓国のように右も左もわからないという状況には至らない。けれども英語の案内が無いというか、そもそも観光用の地図や案内板がほぼ存在しない。日本の地方で見られるような「地方を売り込む」ような姿勢は見られないのは誇り高く良いことだが、訪問者にとっては相当不便。
バイクの車列には圧倒されるが、川のように流れる理由は信号が少ないことによる。無秩序に走っているわけではなく、また速度も時速30kmほどなので渋滞していても車両がコントロールできている。バイクの大河を横断する心得としては、ゆっくり歩くこと。横断中に目の前をバイクが抜けていくのを許すことに思える。自分が先に渡ろうとして小走りですり抜けるような動きは秩序を乱してかえって危ない。もちろん車列が切れるタイミングで渡り始めるのであるが。それから信号が右折はいつでも可能であったり、方向別に変わったりと時差信号のような動きも把握することも必要です。
リムジン
リムジンと称しているが、ミニバンを用いた行き先固定の乗り合いタクシー。使ったのは大手バス会社 Hoang Long Bus が運行しているハイフォン行き。ここでカードが使えず200,000ドン現金で支払った。念のため前日に乗り場兼事務所へ行って予約=支払い。レシートも何も出てこないので不満そうにしていたら裏紙に手書きで予約書を書いてくれた。翌日の乗車ではその係員に目で挨拶してOK。結局紙は不要。まあ、日本でも電話で店や宿を予約したら何も証明書類は無いので、証書がなくて通用するのが普通である。
リムジン案内サイトの紹介ページ https://limousinevn.vn/car/hoang-long-limousine/
鉄道
ハイフォン1500発の汽車でハノイのロンビエン駅まで乗車。インターネットの予約サイトでは席がなく、当日駅の窓口で切符を購入。現金。買うのは現地の人がしてくれた。ネット情報のとおり列車はほぼ満員で驚く。乗り心地は快適。揺れはあるが不安な縦揺れではなく、横揺れでむしろ心地よい。途中駅での乗り降りもあり、景色も自分は楽しめたので2時間半はちょうどよい乗車時間だった。ロンビエン駅で下車後に線路近くで写真を撮影。その時、鉄橋にカメラを向けたら向かいに座っていた警備員が声を掛けてきて指を指す。見ると撮影禁止の看板。素直に従う。
ビール
ベトナムのビールは概してオリオンや韓国製普及版のような軽い口当たり。けれどもビールの味はする。なかでも Bia Hà Nội がおいしい。値段は50円くらいで清涼飲料水と変わらない。