ICOM京都2019最終報告書と別冊博物館研究「ICOM京都大会2019特集」

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    ICOM京都大会の報告書をざっと見ました。別冊博物館研究「ICOM京都大会2019特集」と合わせて読むとうまい具合に理解が深まります。

     

    ICOM京都2019最終報告書(日本語版)

    190ページ pdf 23.3 MB

    https://www.j-muse.or.jp/02program/pdf/kyotohoukokujap.pdf

     読むのがたいへんなので、要点を書き出しました。結果報告として重要なのは採択された決議の全訳、資料としては登録(国別参加者数ほか)や参加者アンケート、参考資料の京都大会を準備実施してきた委員、協賛企業や出展者の名簿などがおもしろいでしょう。国別参加者ではロシアが6位というのに驚きです(165p)。プログラムについてはICOM委員会リスト(16p)を参考に興味のある国際委員会のセッションを見る、

     個人的には秋篠宮殿下の「開会式のおことば」(29p)がお守りのように重要で、「標本」という言葉を用い、最も大切な意義に「保存と継承」を取り上げたことに感激しています。

     

    内容

    挨拶 スアイ・アクソイ会長、佐々木丞平ICOM京都大会組織委員長(京都国立博物館館長)、青木保ICOM日本委員会委員長(前国立新美術館館長)、銭谷眞美日本博物館協会会長(東京国立博物館館長)

    概要 6ページ

     数字で見る京都大会(写真多数)、日程表、大会テーマ「文化をつなぐミュージアム―伝統を未来へ―」

    プログラム(簡単な内容報告を含む) 116ページ

     ICOM委員会などリスト、規約に基づく会議(採択された決議全訳、日本委員会提出決議文の解説)、式典、式辞、開会式、基調講演、全体会合、国際委員会(分科会)のセッションほか

    運営 大会への歩み、主催者、運営組織、開催都市と会場、ボランティア、参加助成、PR、登録(国別参加者数ほか)、参加者サービス 18ページ

    参加者アンケート(日本在住者41%) 4ページ

    財務報告 2ページ

    大会後のイベント 2ページ

    参考資料 26ページ

     委員会名簿(組織委員会、運営委員会、事務局)、協賛協力一覧、出展者、オフサイトミーティング(会場外会合)、エクスカーション(巡検)、制作物一覧(参加者への配付資料、各種パンフレットほか)、メディア掲載、参考資料(ICOM規約、博物館の定義:現行および新提議案)

     

    別冊博物館研究「ICOM京都大会2019特集」 1320円+送料400円

    https://www.j-muse.or.jp/03books/other.php

    「報告書」はとっつきにくい、よくわからないという場合は、この「別冊」から読むのがよいと思います。「報告書」と重複する内容はごくわずかで、京都大会の概要を知るにはこちらの「別冊」が適しています。巻頭の委員長や会長などの挨拶が、どれもえらく力が入った文章で微笑ましいと感じるほど。手応え十分だったのでしょう。本文はさまざな立場で博物館に関わる人たちの寄稿で、いろいろな意見や経験を知ることになります。日本とICOMの関係と歴史、京都大会実現までの経過など時間的な奥行きからも理解ができます。

     

    この2冊を回し読みして館内でICOMについて話ができればよいのですが、いまの状況ではリモート飲みでやるしかないかも。


    報告書は刊行の前と後とで世界を変える―ICOM京都大会の振り返りイベントの報告書の感想

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      報告書は世界を変える第一歩

       報告書と聞いて思い起こすのは、自分の場合は「ローマクラブ報告書 成長の限界」(1972)や「経済構造調整研究会報告書 前川リポート」(1986)、「学芸員養成の充実方策について「これからの博物館の在り方に関する検討協力者会議」第2次報告書」(2009)などがある。これらは議事録や講演録として参加者以外にも内容を伝えること、それに加えて提言や宣言など意見集約と意見公表をおこない、その後の世界を変える役割を担っている。世界を変えるとは大げさだが、制度や仕組みの変更の手続きとしての諮問機関の報告でなくとも、調査で歴史や実態を明らかにすることや研究によって無意識におこなわれてきた事柄やきれいごとに隠された意味を浮かび上がらせるなど、論文や報告書には人々の考えや行動、物の見方を変える力を持つ。ちいさいことでも報告書にはその気概がほしい。

       

       

      ICOM京都大会の振り返りイベントとは

       以下は次の報告書を見ての感想となる。当日の参加はできなかったため、知り合いから送ってもらった。

      「ICOM京都大会からみた あたらしいミュージアムのかたちとは? ICOM京都大会2019報告会・ワークショップ報告書」

      日時:2020年1月13日(月・祝)

      会場:京都文化博物館

      主催:京都歴史文化施設クラスター実行委員会・ICOM京都大会2019組織委員会・ICOM日本委員会

      平成31年度文化庁地域の美術館・歴史博物館を中核としたクラスター形成事業

       

      報告書は公開されて意味を持つ

       このワークショップは「平成31年度文化庁地域の美術館・歴史博物館を中核としたクラスター形成事業」として国費も投入された公のものである。国民すべてが内容を知る権利を持ち、なによりも全国の博物館や学芸員が参照すべき内容を持つ。開催場所は京都市であり、北海道や沖縄、本州でも空港から離れた場所からの参加は時間的にも金銭的にも困難である。当日参加できなかった人たちに向けて何らかの報告をインターネットで公開するのは義務ともいえる。

       ところが現在のところ、この報告書はインターネットでは公開されていない。前半部分は京都大会の内容紹介で舞台上の人物や投影されたスライドを多数収録していること、当日の解説もオリジナルな内容が含まれるからだろう。後半のワークショップも人物が大きく写る写真などが含まれており、全体をネットで公開するのは著作権の尊重や肖像権から控えたと想像する。とくに解説では限られた参加者に向けたその場限りの話もあったかも知れず、不特定多数が目にする、誰が読むのかわからないインターネットでは公開が難しいのは理解できる。もっともこの感覚は日本独自のもので、紙媒体がOKならネットでも大丈夫のはずだという考えもあるかも知れない。

       それはさておき、公開できる範囲、積極的に公開すべき内容はないのか。それとも公開するほどの価値がないのか。公開した場合の費用対効果が読めないのか。現在のネット情報は開催のお知らせに限られる。ついでに言うとチラシがpdfでリンクされているが 8.5 MB もある。これくらいのファイルサイズならばクリックする前にわかるようにリンクのところで明記してほしい。現在はリンク切れになっているし、もうちょっとメンテナンスできていたい。ファイルサイズは国会図書館のサイト Current Awareness Portal の情報。いつも思うのだが、ここのサイトは要領よく簡潔で参考情報も気が利いている。

      関連イベント | ICOM Kyoto 2019

      https://icom-kyoto-2019.org/jp/related-events.html

      【イベント】ICOM京都大会2019報告会・ワークショップ「新しいミュージアムの形とは?」(1/13・京都) | カレントアウェアネス・ポータル

      https://current.ndl.go.jp/node/39687

       

      見られることを意識したい

       報告書にとって途中経過は省略可能であり、重要なのは結果である。議論の経過は掲載すべきだが、雑談は必要ない。今回の報告書でいえば、ワークショップの結果が最も重要である。しかし報告書の内容ではワークショップの成果が結局何だったのか、わからない。班別学習でアクティブラーニングをしたのはわかるが、そこでの発話は班の意見なのか何なのか。アンケートの回答が掲載されているが、まとまりなく不完全な文字列をどう受け取ればよいのか。平たい板に付箋を貼り付ける作業はもはや陳腐で、若い人は小学生からやらされてきた。あの方法は口下手であっても意見が出しやすい利点があり、意見を引き出す方法としては効果がある。報告書にはマジックで意見を書き込んだ模造紙を博物館の専門家が広げて持ってる写真、伝えたいことを記したサイコロが並んだ写真が多数掲載されている。教育学関係の学会発表なら付箋からアレンジして活発な発言が得られたとする証拠写真になるだろうが、これはICOM日本委員会の報告書である。財界や政治家の偉い人たちが報告書を手に取ったとき、へーICOMってお気楽な集まりなんだなあ、という印象を与えないだろうか。古い言葉でいえば、女子供の博物館という偏見を持たれてしまうのではないか。報告書は読者に向けた物であると同時に、政治や経済界に向けた宣伝道具としても機能する。そこまで考えた上で、この編集内容だったのだろうか。

       ワークショップが和気あいあいとするのはかまわない。意見を求めても発言する人が固定するので、何らかの仕掛けが必要なことも多い。けれどもそれはその場の都合であって、公的な報告書では不要ではないのか。教育学的な成果発表は切り離して別にすればよい。

       

      意見の形成は積み上げて成る

       ICOM京都大会の宿題は「ミュージアムの定義改正」である。このワークショップのタイトルも「あたらしいミュージアムのかたちとは?」と宿題を受けたものである。けれど報告書にはワークショップの結果が見えない。活発な意見交換があり、たくさんの意見が出され、班や参加者で共有しました。それが何なのか。共有すべき範囲は日本の博物館関係者全体ではないのか。そのための報告書のはずであり、公開すべきはワークショップの成果である。それをインターネットで公開して博物館関係者の共有物とするべきではないのか。もちろんワークショップの結果は日本全体の統一見解ではない。各論羅列でよいのである。それでも一定規模の人数の意見交換の後に生まれた結果としてコンセンサスが得られたのであれば一定の意味がある。それを第1段階の基礎として、日本博物館協会なりICOM日本委員会が参加者以外からの意見を募集する。そして日本委員会の見解をまとめていくという、ICOM日本委員会としての新定義に対する意見の積み上げ、組み立てが可能な機会だったのではないか。

       現在、ICOM日本委員会は会員に向けて定義改正に関する意見収集を呼びかけている。しかしそれは京都会議以降の意見集約の段取りや道筋がまったくないままの一般公募である。1月のワークショップが意見集約に位置付けされておらず、せっかくの開催があまりにもったいない。

       Facebookには「ICOM「ミュージアムの定義改正」についての意見交換グループ」が存在するが、当初から投稿者は少数で、3月以降は更新がほとんどない。原因のひとつが最終的にはICOM日本委員会の意見集約との関係が不明なこと、そこに向かう道筋が不明なことに思える。長い在宅時間が何かを変えるか。


      新しい博物館の定義に関してICOM日本委員会が意見収集

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        きのうICOM日本委員会から会員あてのメールが届き、年次総会の延期と博物館定義の意見募集について案内がありました。日本委員会の意見募集は6月末日まで受付とのことです。全文とICOM事務総長の会議延期を伝える手紙を貼り付けます。

         

        意見収集は会員からですが、ICOMの趣旨からすれば博物館や関係機関・企業で働く人や研究者であれば会員外からでもかまわないでしょう。もし会員外からの提案は受け付けないという場合は当方が代わって意見提出しますのでお知らせ下さい。

         

        意見収集や提案が結果的にICOMの新定義に反映されなくとも、多くの異なる博物館、働く立場や境遇、目指す方向から意見が出されることは博物館の業界にとってプラスになります。日本の博物館に対する意見提起や批判批評は、官邸や官邸官僚からのものが幅をきかせています。博物館の伝統的な考えや行動様式を小馬鹿にし、文部科学行政や文化財保護行政の流れを無視したものですが、見方によっては因習やしがらみにとらわれない斬新な提案ともいえます。

         

        昨日、2020年4月10日も「文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律」(文化観光推進法)が成立したばかりです。具体的な中身はWiFiやキャッスレス情報でデジタル化のようです。これは文科省の法律の概要に明記されています。例によって計画を作成して認定を受ける、推進事業者と連携するなどとされ、結局は作文屋と仲介屋に税金をつぎ込む仕組みです。

        文部科学省のページ

        https://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/mext_00379.html

        NHKの記事

        https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200410/k10012379201000.html

         

        いまの政権はこのような事業を推し進めるのでしょう。博物館の現場からすれば、それに対向する意見集約、その前提となる意見交換の場が必要なのです。ICOMの新しい定義への意見収集が、そのきっかけになればと思っています。

         

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        ICOM日本委員会

        会員 各位

        (bccでお送りしています。

        新型コロナウイルス感染防止に係るICOM関連事業等の計画変更について、つぎのとおりお知らせいたします。

        <新型コロナウイルス感染防止に係るICOM関連事業等の計画変更について>

        *ICOM本部から

        2020年の年次総会、諮問会議の延期について:2020年6月10日〜12日の日程でパリにて開催予定だった年次総会と諮問会議は延期となりました。新しい日程は未定となっています。

        (添付:本部事務局長からの通知)。

         

        *ICOM日本委員会から

        1. 2020年の国際博物館の日記念シンポジウムの開催について(ICOM日本委員会):

        5月16日(土)に東京国立博物館にて開催予定だったシンポジウムは、集会形式での開催は行わないこととします。現在、主要なプログラムについて、感染リスクのない形でインターネット配信することを検討しています。詳細は決まり次第ご案内します。

        2. ICOM日本委員会の2020年度の理事会及び年次総会の開催について:

        5月に開催すべく準備を進めてきた今年度の理事会と総会は、集会形式の会議は行わず、書面による開催といたします。書面理事会にて成案を得た議案を各会員に郵送し、葉書で返信いただいた結果に基づき審議を行い、結果を通知する予定です。議案書の発送は5月上旬を予定しています。

        3. 採決延期となったICOM規定の博物館定義見直しに対する意見募集について:

        本年1月にICOM本部から示されたスケジュールによると、MDPPでの継続的検討を経て、2021年6月の年次総会にて採決予定となっています。ついては、日本委員会としても国内会員のご意見を収集することといたします。ご意見をいただける方は、6月末日までにICOM日本委員会

        <icom@j-muse.or.jp> へメールにて「博物館定義に対する意見」のタイトルを付してお送りください。

        ICOM日本委員会

         


        ユネスコ2015勧告とICOMの新定義

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          ようやく『ユネスコと博物館』(雄山閣 2019)を読んだ。タイトルにあたる主要な部分を執筆された林氏は一般向けの商業出版には入りきらないユネスコの原典について、直リンクによる文献リストを作成されている。これはたいへんに助かることで、タイミングこそ異なるが2015年の勧告の作成過程が追体験できる仕組みになっている。なお、直リンクで示されたpdf文書などの多くはウェブページからリンクされている。まずはここを訪問するのがよろしい。

          Recommendation on the Protection and Promotion of Museums and Collections | United Nations Education

          http://www.unesco.org/new/en/culture/themes/museums/recommendation-on-the-protection-and-promotion-of-museums-and-collections/

           

          本書のうち、ユネスコ2015年勧告については、2017年9月18日に京都国立博物館で開催されたワークショップ「2015ユネスコ勧告を読みと解く―今後の我が国の博物館像を考えるために」の林氏の講演を下敷きに書物としてまとめたものになる。当日は台風が心配されたり演者の1人が欠席されたりした。

          「2015ユネスコ博物館勧告を読み解く」参加報告

          http://unisan.jugem.jp/?eid=8


          ユネスコは国連の専門機関であり、各国政府が分担金を負担する国際機関である。国連は地球上のほとんどの国が加盟し、総会での議決は人口や経済力にかかわらず1国1票である。事務総長が欧米以外からも選ばれるなど、第三世界の存在感が大きい場である。本書では、ユネスコ2015年勧告もアフリカや南米、中国など非欧米諸国の意見によって相当程度に修正が加えられたことが詳しく述べられている。

           

          また、タイトルには無いが中身の半分はICOMと日本の博物館業界、そして京都大会の招致の内幕だった。ここを担当された栗原氏の記述は数字や名称が多数記され、直接の典拠は示されていないが参考文献を合わせれば相当の確度で事実を追及することが可能な資料性の高い書き方になってありがたい。

           

          他方、ICOMはNGOである。会員の構成はヨーロッパが過半を占め、そのなかにはオランダのように人口に較べ会員数が飛び抜けて多い国もある(下表参照)。議決権は国内委員会と国際委員会の役員だけが持ち、当然ながら役員の出身地は欧州が多い。そしてその補正はおこなわれない。このような評決の前提条件が不平等な国際機関など存在できないだろう。ICOMは出自も現在もヨーロッパが中心の組織であり、ICOMのいう国際とは西欧諸国間の付き合いという認識でいるような気がしてならない。新定義の議論で設定された8つの指針そのものがヨーロッパの歴史を下敷きにした問題意識である。とりわけ北西ヨーロッパが中心、別の言い方をすれば英米を含む性を持たないゲルマン語諸国の価値観、先導者意識が見られるように思う。

           

          ICOMは博物館の新定義を議論する前に、代議員の平等性や代表制を再確認する必要がある。日本委員会として、意見表出してみてはどうだろうか。

           

          ICOMの会員数(京都大会総会資料 ADVISORY COUNCIL MEETING 85th and 86th SESSIONS より)

          総数の年次変化

           2015     2016     2017      2018

          30,624    37,140    40,860    44,686

           

          2018年の地域別会員数(カッコ内は%)

           地域       国数        総会員数     うち個人会員     うち機関会員

          アフリカ     22 (15.9)       385 (0.9)      375 (0.9)       10 (0.3)

          中南米      24 (17.4)      1,807 (4.0)     1,606 (3.9)      201 (6.7)

          北米        2 (1.4)       2,899 (6.5)     2,800 (6.7)        99 (3.3)

          アラブ諸国    16 (11.6)       301 (0.7)      279 (0.7)        22 (0.7) 

          アジア太平洋 25 (18.1)       2,141 (4.8)     1,874 (4.5)      267 (8.9)

          欧州     49 (35.5)     37,153 (83.1)    34,743 (83.4)   2,410 (80.1)

           

           

           

          2018年の総会員数上位国と主要国の状況

           国名    総会員数  うち個人会員  うち機関会員

          ドイツ          6,101     5,864     237

          フランス         4,845     4,418     427

          オランダ         4,614     4,538       76

          イタリア         2,250     2,092     158

          イギリス         1,949     1,887     162

          オーストリア     1,911     1,820     91

          デンマーク        1,688     1,625     63

          スイス          1,687     1,626     61

          ベルギー         1,452     1,347     105 

          スペイン         1,197      926     271

          ロシア           958      836    122

          スウェーデン        954      835    119

          アメリカ         2,028      1,963      65

          カナダ           871      837      34

          オーストラリア     596      564      32

          中国            293      216      77

          北朝鮮             1        0      1

          韓国              89        54      35

          台湾              43        20      23

          日本            402      362      40


          ICOMの新しい博物館の定義に向けた議論:定義の変遷と新定義の指針

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            1.ICOM博物館定義と変遷

             

            ICOMの博物館の新定義が京都大会では採択の延期を決めたのは、あまりにも変更の度合いが大きく、事前の意見交換の期間では対立する溝を埋めることがことによる。これについて見てみたい。

             

            現在のICOMの博物館定義は2007年のウイーン大会で採択された。ICOM規約の第3条第1項である。

            2017_ICOM_Statutes

            https://icom.museum/wp-content/uploads/2018/07/2017_ICOM_Statutes_EN.pdf

            ICOM規約(2017年6月改訂版)

            https://www.j-muse.or.jp/icom/ja/pdf/ICOM_regulations.pdf

             

            直前の2001年の定義からの変更点は無形 intangbile 遺産が追記されたこと。それ以前には有形も無形もともに言及されていない。規約の変遷はイコムのアーカイブサイトで追跡が可能で、最初の定義は1946年の創立時から存在し、最初は設立書、1951年以降は規約の条文となっている。定義については下のページで1946年版から2007年版まで確認できる。

            Development of the Museum Definition according to ICOM Statutes (1946 - 2001)

            http://archives.icom.museum/hist_def_eng.html

             

            上記サイトに見える博物館の定義は、簡潔な1946年版の定義を充実させる形で何度も改訂されててきた。いわばマイナーチェンジである。最初の1946年定義は簡潔に過ぎるが一般公開された資料 collections to the public という言葉があり、1951年に恒久的 permanent という言葉が出現し、1961年は恒久的な機関 permanet institution とされ教育 education という言葉が加わり、1974年には非営利 non-profit と明記された。博物館の広がりや資料の有無については、当初から芸術、技術、科学、歴史、考古、そして動物園と植物園が含まれ、水族館は1951年に明記された。歴史的記念物や歴史公園、自然記念物や保護区は1961年、科学館とプラネタリウムは1974年に追記されている。条文の内容や博物館の広がりから、1974年版が現在に至る博物館定義の原型といえる。その後は博物館と見なす施設を具体的に言及して広がる改訂が1989、1995、2001年の3回おこなわている。現状の2007年の定義では無形遺産を含むと明記する一方、対象施設を示す第2項について具体的な施設一般名称を記載することをやめ、執行役員会が決めた機関としている。

             

            2.新定義の内容

             

            フルモデルチェンジとなった新定義(正確には案であるが煩雑なので省略)は、現定義とともにウェブサイトに示されている。現在、ICOMのウェブサイトで定義を探すとこのページが示されるようになっている。現状の定義だけ取り上げて示したページは見当たらない。それだけ新定義を訴えたいということか。

            Museum Definition - ICOM

            https://icom.museum/en/standards-guidelines/museum-definition/

             

            日本語訳については、ICOM日本委員会から訳文は示されず、私訳が複数提案されているが、それらは後に紹介するオリジナルサイトで見ていただくこととして、ここではすでに削除された国立国会図書館の和訳を原文とともに紹介しておく。

             

            博物館は、過去と未来に関する批判的な対話のための民主的で包摂的で多声な空間である。現在の紛争や課題を認め対処するために、博物館は、社会のために委託されて人工物や標本を保有し、未来の世代のために多様な記憶を守り、すべての人々に遺産に対する平等な権利とアクセスを保証する。

            (Museums are democratising, inclusive and polyphonic spaces for critical dialogue about the pasts and the futures. Acknowledging and addressing the conflicts and challenges of the present, they hold artefacts and specimens in trust for society, safeguard diverse memories for future generations and guarantee equal rights and equal access to heritage for all people.)

             

            博物館は営利を目的としていない。博物館は、参加型で透明性があり、人間の尊厳、社会正義、世界的平等や幸福に貢献することを目的に、収集・保存・研究・解説・展示を行い、世界への理解を高めるため、多様なコミュニティーと、コミュニティーのために積極的に連携する。

            (Museums are not for profit. They are participatory and transparent, and work in active partnership with and for diverse communities to collect, preserve, research, interpret, exhibit, and enhance understandings of the world, aiming to contribute to human dignity and social justice, global equality and planetary wellbeing.)

             

            ICOM announces the alternative museum definition that will be subject to a vote(ICOM,2019/7/25)

            https://icom.museum/en/news/icom-announces-the-alternative-museum-definition-that-will-be-subject-to-a-vote/

             

            国際博物館会議(ICOM)、規約に含まれる博物館の定義の新たな案を発表:2019年9月に京都で開催される臨時理事会で採決へ Posted 2019年8月1日 カレントアウェアネス

            https://current.ndl.go.jp/node/38705

            *リンクは現在のページで和訳は削除されている。ちなみに末尾のリンクもカレントウェアネスに掲載のもの。さすがである

             

            3.新定義の議論

             

            京都大会から半年が経過し、新定義については不十分ながら多くの議論や評価がなされてきた。ここでは2つのウェブ読み物を紹介しておく。両者ともに新定義の私訳の他に定義やその議論を巡る事実提示や考察が示されており、たいへん勉強になる。このふたつを読めば、新定義をめぐる大まかな状況は把握できる。

            「ICOM博物館定義の再考」が示すもの─第25回ICOM(国際博物館会議)京都大会2019 芦田彩葵

            https://artscape.jp/report/topics/10157593_4278.html

            ICOM(国際博物館会議)の意義とは何か? いま、あらためて京都大会を振り返る 青木加苗

            https://bijutsutecho.com/magazine/insight/21339

             

            さて、新定義の議論の出発点は、ICOMの特別委員会 MDPP (ICOM Standing Committee on Museum Definition, Prospects and Potentials:博物館の定義、見通しと可能性に関する委員会)が2018年12月に提出した報告書である。もちろん特別委員会の編成前から議論はされていたのだろうが、一般の会員が議論に参加可能となったのはこの時点であり、議論の道筋が示されたのがMDPP報告書であった。

            MDPP-report-and-recommendations

            https://www.j-muse.or.jp/02program/pdf/MDPPteigeneiyaku.pdf

            MDPP「提言と報告」仮訳

            https://www.j-muse.or.jp/02program/pdf/MDPPteigenwayaku.pdf

             

            MDPPの報告書は長文で要点がつかみにくいが、アクソイ議長の2020年1月19日の手紙でも言及された8つの指針 criteria を中心に考えるのだろう。ICOM日本委員会の和訳(MDPP「提言と報告」仮訳)では次のとおり。原文には無いが、引用するにあたり番号を付した。

             

            1 「博物館の定義」では、博物館の目的と価値が明確に定義されるべきであり、その目的と価値は、博物館が常に未来へ向け、持続可能で、かつ倫理、政治、社会、文化上の課題と責任を成就するべきものである

            2 「博物館の定義」では、仮に現行の用語が今後変化する場合でも、博物館に特有で本質的な共通の機能である、収集、保管、記録、研究、展示及びコレクションやその他の文化的遺産を通したコミュニケーション等の機能を維持すべきである

            3 「博物館の定義」は、現実社会の緊急性および持続可能な解決策の開発と実施という責務を含むべきである

            4 「博物館の定義」では、博物館が世界規模で活動を行う際に、多様な世界観や慣習等に敬意と配慮を持つべきとの認識が必要である

            5 「博物館の定義」では、地球規模、国内、地域、地方レベルでの権力と富に関わる、根深い社会の不平等や非対称という存在を、危惧の念を持って認識されるべきである

            6 「博物館の定義」では、それぞれの博物館が所属するコミュニティとの関係において、博物館が、協調、共有されたコミットメント、責任と権限を有する、専門的な役割を果たしているという統一的な見解を表明すべきである

            7 「博物館の定義」では、博物館が有意義な人々の集まる場であり、学習や交流のためのオープンで多様なプラットフォームであるというコミットメントを表明すべきである

            8 「博物館の定義」では、物質、財務、社会、知的リソースの取得と活用にあたっては、博物館がその説明責任と透明性を明確にすべきである

             

            アクソイ議長の2020年1月19日の手紙

            https://icom.museum/wp-content/uploads/2020/02/Museum-definition_the-way-forward_EN.pdf

             

            4.以下は私見

             

            8つの指針はいずれも結構な内容であるが、現実の博物館は自由と民主主義とセットで存在するわけではない。独裁国家や西欧的価値観を比定する国家の博物館はどうなるのか、新定義が採択されれば行政からの支援が止まる事態も考えられる。新定義への指示と保留ないし反対の態度はそこを想定したものだ。

             

            日本の場合、登録博物館は社会教育法の特別法たる博物館法で規定されており、初めから新定義の博物館と親和的と考える。つまり公立博物館や多くの博物館では多かれ少なかれ新定義の目指す博物館が先取りして実践している。そして大規模館や県立館では新定義は今後の活動目標としてふさわしい。

             

            他方、博物館は自由であり近代以前から存在する。朴訥と資料の保存に専念する博物館があってもよい。ICOMの定義など無視すればよいだけだ。

             

            心配するのは私立の博物館である。新定義に照らした場合、京都の有鄰館などはどう評価されるのか。これ以外にも個人コレクションが一部公開されたような博物館があるだろう。それらは権威ある国際的な基準からは博物館と見なされなくなるのか。そういったコレクションはユネスコの勧告に委ねるのだろうか。その勧告が対象とするコレクションはパブリックコレクションに限らない。

            有鄰館

            http://www.yurinkan-museum.jp

            ミュージアムとコレクションの保存活用等に関するUNESCO勧告

            https://www.j-muse.or.jp/02program/pdf/UNESCO_RECOMMENDATION_JPN.pdf

            「2015ユネスコ博物館勧告を読み解く」参加報告|網走日記帳

            http://unisan.jugem.jp/?eid=8

             

            博物館には名称独占制度がないので、博物館は誰が名乗ろうと自由である。罰則もない。そのために登録制度で模範となる博物館を具体的に示し、金銭的な支援の対象を規定してきた。しかし、制度上の制約から現時点では評価の高い博物館でも登録博物館になれないケースがいくらでもある。災害などで支援が必要となったとき、現在のICOMの定義であれば、たとえ登録館でなくともICOMの規約に照らして十分に博物館と認定できるという線引きに使える。新定義の導入は、博物館から外れたり、降りてしまう博物館が出てくるのではないかと危惧する。

             

            うがって見れば、新定義はあまりにも北西ヨーロッパの視点が強すぎる。さらに言えばスキーのジャンプの基準変更のようにも見える。東の国々が追いついてくると基準を変更する。それは基準変更によって異なる方法を発達させ別の主役を登場させるという積極的な意味がある一方、常に自分たちが世界の最先端に立ち続けるというゴールポストの恣意的移動ではないか。これが言い過ぎであれば、変化の速度は地球の各地で異なっており、21世紀になって移民の流入などで変化が激しい地域もあるだろうが、ゆっくりと時を過ごした場所もある。それら時の流れの違いを無視した突然の定義変更は無理がある。

             

            ICOMの博物館定義は2007年版のマイナーチェンジにとどめ、新定義については現時点の使命として使える国では用いていく、そんな落しどころではないだろうか。


            ICOMの新しい博物館の定義に向けた議論:4月末までに集約が必要

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              JUGEMテーマ:博物館

              昨年9月のICOM京都大会では博物館の新定義が議論された。おおかたの予想どおり結果は採決の先送りであった。その後はどうなったのか。新型コロナウイルス COVID-2019 の影響でICOM関連のイベントが次々に中止となったが、いずれも京都大会の記念集会や振り返りであり、明確な目的が示されていなかった。今するべきは意見表出や議論である。じつは、昨年末から年始にかけICOMは新定義に向けての議論の手順を期限を示していた。

               

              ICOM英国委員会は、ICOM執行役員会が2019年12月9日に合意した事項として次のことを伝えている。

              ・MDPP(ICOM Standing Committee on Museum Definition, Prospects and Potentials:博物館の定義、見通しと可能性に関する委員会)が継続して博物館定義の議論進展に努めることを支持する

              ・上記の委員会をこれまでの委員会と区別してMDPP2と呼ぶことを提案する

              ・MDPP2には会員からより多くの代理人を補充する

              ・この重要な仕事を次の段階に進める期間を2020–2022年の3年間と設定する

              ・MDPP2の仕事を進展させる指針 parameters を確立する

              ICOM new museum definition – update on the next steps

              https://uk.icom.museum/icom-new-museum-definition-update-on-the-next-steps/

               

              執行役員会の結果は、2020年1月19日付けICOMのアクソイ議長から国内委員会と国際委員会の執行部に宛てた手紙で通知された。

              ・MDPP2が設置され、国内委員会と国際委員会からの代理人が追加される

              ・各委員会で議論を始めるよう、この手紙をもって依頼する

              ・ICOM役員会は、その議論はボトムアップモデルとして役員会を超え各委員会のすべてのメンバーが参加すると決めた

              ・国内委員会と国際委員会では役員に限定せず、すべてのメンバーで議論することを期待する

              ・リアルでもオンラインでも規模を問わず議論をする、メンバーから調査 surveys をする

              そしてこれらの作業を前提に

              ・各委員会の結果は今年2020年6月10–12日のICOM年次会議での博物館定義の議論に情報提供される

              ・各委員会の議論や情報は4月30日までにMDPP2に送ってほしい

              ・今年の年次会議は臨時総会や採択はなく、それらはICOM設立75周年となる2021年6月を予定する

              Museum definition - the way forward

              https://icom.museum/wp-content/uploads/2020/02/Museum-definition_the-way-forward_EN.pdf

               

              つまり、これから1か月の間は、ICOMの各委員会は会議を開き意見集約をおこない、4月30日までにMDPP2にその結果を通知する、そういう期間なのである。ICOMの会員は国際委員会(分科会)に所属していなくとも自動的に日本委員会のメンバーであるので、日本での意見集約はICOM日本委員会が主導的に進めるのが筋である。それが国内委員会の役員や事務局の責務である。

               

              この情報はICOM日本委員会のウェブサイトでは見えない。コロナウイルスではワシントンポストが出した日本語の記事が話題だが、本件も同様である。知るべき情報を他国のICOM国内委員会から知る状態は情けない。ICOMの事務局に予算と人員を投入することが急務である。何か良い方法はないものか。

               

              しびれを切らした人たちがフェイスブックページを立ち上げたが、議論は低調である。コロナのおかげて時間はあるが集会は不可。オンラインの議論には絶好の機会である。「さあ議論しましょう」というとどうしても特定の人が発言して他は黙る、とくに出遅れたと感じると沈黙してしまう。建設的な意見交換をするはずが、個人の主張の開陳、自画自賛の場となるなど。本旨から外れるが、超基本的なところの質問回答の場としても使って良いと思う。

              ICOM「ミュージアムの定義改正」についての意見交換グループ

              https://www.facebook.com/groups/544422873094972/

               

              またICOM特有の問題として、ICOMは誰のものか、誰が主役なのかという疑問がある。ひとつは、公用語が仏英西であるため言葉の問題で情報アクセスに差がでること。2つめに発言者の多くが教育担当や博物館学の専門家で研究者が少ないこと。3つめとして、ICOMそのものが文化財や美術品が主体で自然史系が少ない、つまり人間が作ったものが主流で神さまが作ったものに疎い。4つめ、大規模館、国立館、県立館では議論が現実に仕事に関連しそうに思えるが、小規模館、とりわけ地方公立館ではまったく無関係に思えること。

               

              最後の問題が最大の課題に思う。小規模館でも私立の場合、まわりに相談する人が居ない状態でICOMで救われたという話を聞く。設置者が博物館に不慣れなため、ICOMのメンバーが直接に手本や助言者となり、場合によっては標準仕様となるのだろう。ところが公立館の場合、博物館に不慣れ無理解であっても公務員や地方公共団体という標準仕様が存在し、たとえそのローカルな理解が独自研究であっても独善的にそれが適用される。博物館の世界では尊重すべきICOM基準など市町村の前では無力となる。工場(学校でも教室でも家族でも可)のなかでは憲法が停止されるのと同様の状況が現実にある。これを変えていくことが必要で、ICOM新定義よりも目の前の問題が重大なのである。これがICOM新定義の議論とリンクするとよいのだ。まずは名付けからだ。


              ネットで読めるICOM大会の参加報告

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                JUGEMテーマ:博物館

                 ICOM京都大会に参加するかどうか。迷いますね。4月30日で早割が終わってしまうので、決断第一関門まであと2週間です。それならば過去の大会の参加報告を読んでみようと検索してみました。結果は驚くほどにネット情報が少ないのです。幸いなことにイコム日本委員会のサイトでは公式報告書を公開しています。これ以外で参考になりそうな記事をリンクしてみました。報告を見つけられたのはミラノ、リオ、上海の3大会で、ウィーンとソウルは見つけられませんでした。

                 ところで公式サイトが残っていたのはミラノとソウル大会だけでした。ここは残っいて日本語ページもありました。アーカイブサイトらしきスペイン語のページがあるので載せておきます。検索ではイコムのページとして ICOM 2007 General Conference - ICOM Website Archives というのが当たるのですが既に削除されてしまったようです。国際委員会のページのなかには残っているものがあります。

                 ウェブページの削除は本当に愚行だと思います。博物館の親玉がこれではいただけません。ウェブサイトは速報性に加えて、蓄積も重要な機能なのだから。

                 

                2016年ミラノ大会

                ICOM日本委員会の報告書

                リンクページ

                https://www.j-muse.or.jp/icom/ja/office.php

                直リンク  2.5 MB

                https://www.j-muse.or.jp/02program/pdf/ICOMMILANOHOUKOKU.pdf

                ICOM MILANO 2016大会レポート〜その1 [その2と7あり]

                https://ameblo.jp/tokugawamuseum/entry-12177550194.html

                民音音楽博物館 ICOM(国際博物館会議)ミラノ大会に出席しました

                http://museum.min-on.or.jp/information/detail_677.html

                公式ページ

                http://network.icom.museum/icom-milan-2016/

                 

                2013年リオデジャネイロ大会

                京都外国語大学博物館調査研究レポート「第23回ICOMリオデジャネイロ⼤大会に参加して」

                https://www.kufs.ac.jp/umc/pdf/icom2013.pdf

                ICOMレポート 第23回ICOM大会(ICOM Rio 2013)参加報告

                https://www.j-muse.or.jp/02program/pdf/MS48-10_secretariat

                ハムと薪と、それから保存 ICOMリオ大会に出展した日本ブース [他にも記事があります]

                http://kambanobuyuki.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/icom-ccbc.html

                スペイン語のアーカイブページ見つかりません

                 

                2010年上海大会

                博物館の国際動向に関する考察−ICOM第22回上海大会の議論を中心として−

                https://irdb.nii.ac.jp/00828/0000991605

                直リンク 1.5 MB

                http://petit.lib.yamaguchi-u.ac.jp/G0000006y2j2/file/18578/20110721153129/D500008000011.pdf

                ミュージアムの小径[会議]ICOM上海大会2日目・3日目 [前後にも関連記事があります]

                http://d.hatena.ne.jp/takibata/20101110/p1

                冒けん!発けん!【世界の博物館教育】 中国・上海市「第22回国際博物館学会(ICOM)」に参加して

                https://www.kobegakuin.ac.jp/gakuho-net/topics/2010/vol55.html

                神戸学院大学Topics 国際博物館会議(ICOM)上海大会<報告>

                https://ksaotome.exblog.jp/15654694/

                スペイン語アーカイブページ

                https://www.icom-ce.org/tag/icom-shanghai/

                 

                2007年ウィーン大会

                スペイン語アーカイブページ

                https://www.icom-ce.org/tag/icom-shanghai/

                 

                2004年ソウル大会

                公式サイト

                http://icomkorea.org/icom2004/index.htm

                日本語ページ

                ICOM 2004ソウル大会参加へのご招待

                http://icomkorea.org/icom2004/japanese/welcome.htm


                ICOM京都大会に参加するには

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                  JUGEMテーマ:博物館

                  1.ICOMとは

                   ICOM京都大会まで半年となりました。この時点になっても、ICOMってなに?どうやって参加するの? という素朴な疑問があるように思います。当方、ICOMの個人会員ですが京都大会には何も関わっておらず、罪滅ぼしにICOMと大会の参加について書いておこうと思います。

                   まずICOMとは何か。ICOMは International Committee of Museum の略称で日本では国際博物館会議と訳しています。本部はパリにあり、公用語は英語、フランス語、スペイン語の3か国語です。ICOMの英語はちょっと違和感があったりするので、実際の文書作成言語はフランス語ではないかと思っています。ICOMはUNESCO(ユネスコ:国連教育科学文化機関)との協力関係がありますが国際機関ではなく、NGOです。国際機関であれば政府が直接分担金を支払い、事務局も省庁内に置かれますが、ICOMはNGOなので国内の事務局は公益財団法人日本博物館協会が持っています。

                   さて、ICOMの読み方です。長らく日本ではラテン語式に「イコム」と呼んできました。出版物でも「イコム」と表記されています。ところが、京都大会の準備が始まるとにわかに「アイコム」と読む人が出現し、瞬く間に広がっていきました。そしてついに、京都大会では英語の使用場面の多さから「アイコム」と統一することにしたそうです。

                  http://icom-kyoto-2019.org/jp/FAQ.html

                   

                  2.ICOMの委員会と会員資格

                   加盟する国ごとに組織された国内委員会 National Committee と専門分野に分かれた国際委員会 International Committee で構成されています。日本博物館協会が事務を担当しているのはICOM日本委員会ということになります。国際委員会は30あり、それぞれに年次総会を開催しています。重要なのは国際委員会で、ICOMのなかみはつまりは国際委員会の活動といえます。委員会といっても加入に特別な資格はなく、ICOMの会員であればひとつでも複数でも入ることができます。委員会の種類は京都大会のページでも紹介されています。

                  発表募集のページ

                  http://icom-kyoto-2019.org/jp/calls-for-papers.html

                   ページを見ればわかるとおり、国際委員会の多くはコレクションに関するものです。あるいは人材育成やマネジメントといった運営面での委員会もあります。ICOMの大きな役割は国際基準を作る=文章化することですから、国が異なっても共通の話題が可能、各国が目指すべき/最低限守るべき基準という議題に適合的です。私は辺地に居て町立博物館の勤務経験があることから地方博物館国際委員会 ICR (International Committee for Regional Museums) に入っているのですが、これはどうにもうまくない。地方博物館の目的や課題はそれぞれですので共通の基準を議論するなどできない。事例を報告しあっても「すごいですね」「たいへんですね」といった感想以上のものがでてこないように思っています。国内にはICRで頑張っている学芸員がいるので、別の面で京都大会を手伝おうとしているわけです。

                   話がそれました。ICOMで疑問なのは加盟資格です。博物館での加盟は団体会員の区分となります。が、この金額が高額らしく、昨今の緊縮財政で加盟を辞める館園が出てきていると聞いています。個人会員はそれより安いので、博物館の職員個人の加盟が現実的かも知れません。問題はこの個人会員の資格で、博物館の職員や退職者、関連する行政部局や大学の教員、現役の学生などは会員になれるのですが、学生や大学院で博物館について学んだり研究したけれども博物館や関連する職に就けなかった人には加盟資格がないのです。もしかしたら運用が変わっているかも知れませんので、知っている方がいれば教えてください。

                   

                  3.ICOM京都大会の参加と発表

                   今年9月に京都で開催されるのはICOM京都「大会」です。国際委員会や国内委員会のすべてが一堂に会するのが「大会」で3年に1度開かれます。さて、どうやって参加するのか。参加そのものはお金を払って申込すればよいのですが、ICOMや大会の仕組みがよくわからないですね。プログラムを見てみましょう。日付毎に別ページで面倒ですが、参加条件について「ICOM会員のみ」「ICOM各委員長等のみ」という記号が見えます。これらの記号がないイベントは誰でも参加できるはずです。

                  プログラム日程表

                  http://icom-kyoto-2019.org/jp/schedule.html

                   一方、発表はどうすればできるのか。ICOMは国際委員会の集まりなので、委員会ベースのセッションは委員会が発表を募集します。委員会が主催する大会のテーマや募集日程は上に書いた「発表募集」のページで委員会名をクリックすると現れます。すでに大方の募集は締め切られているようです。発表申込の締切日を2−3月が多く、なかには3月末というのもけっこうあります。国内的には4月上旬まで待ってもらえれば科研費など予算の裏付けが得られるので、配慮が欲しかったところです。

                   実際には発表までするよりも参加だけの人が多いと思います。参加費が高額で早割が今月までということで、部内決裁もあるのでそろそろ参加するかどうか決める期日がせまっています。ところが、いまだプログラムが明確ではありません。4月14日現在、おもしろそうなオフサイトミーティングのページは「作成中」、ソーシャルイベントも中身が不明です。なにしろプログラム日程表の公開が4月5日なので、基調講演や全体会合のプレナリー・セッションがようやく決まったという感じなのでしょう。とにかく準備スタッフが不足しているのだと想像します。

                   

                  4.ICOMのなかの日本と地域組織

                   ところでICOMの大会、前回は2016年のミラノ、その前は2013年のリオデジャネイロ、アジアでは2004年のソウル大会が最初の開催で次が2010年の上海でした。日本は3番目。日本委員会が前回のミラノ大会の報告書で公開しています。

                  事務局からのお知らせ 「ICOMミラノ大会2016の報告を公開いたしました」

                  https://www.j-muse.or.jp/icom/ja/office.php

                  直リンク https://www.j-muse.or.jp/02program/pdf/ICOMMILANOHOUKOKU.pdf  2.5 MB

                   また、ICOMには8つの地域組織 Regional Alliance があり、日本はアジア太平洋地域連盟 ICOM-ASPAC (Asia-Pacific Alliance)[アスパック] に加盟しています。こちらも日本が初めてホストとなったのが2009年になってからでした。ちなみにこれも数年前までは「アジア太平洋委員会」との訳も散見されます。固定した事務局はなく、委員長の所属館が事務をおこなうそうです。現在の委員長館は大韓民国国立中央博物館。このとおりアジアの博物館界において日本は完全に出遅れています。当局(の担当者?)にも危機感があったようで、下の報告書の「はしがき」にはあせりが正直に記してあります。ASPAC については日本博物館協会の報告書に詳しく、とくに「参考資料1/2」が初心者向けの内容です。

                  平成21年度 アジア・太平洋地域の博物館連携にかかる総合調査報告書

                  http://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/shinko/hokoku/h20/1409472.html

                  *報告書のなかは20年度となっています。

                   アジアで最初にICOMの大会を誘致した韓国では、大会の前後で博物館施策が大きく変化した、よい方向に向かったといいます。これも卵と鶏の問題で、もともと博物館に熱心だったから大会を誘致できたのかも知れません。日本も京都大会を契機に不景気な顔から脱却したいものです。

                   

                  5.衛星会議「サテライト・ミーティング」を

                   ICOM京都大会は世界から博物館人が集まる初めての機会です。せっかくなので、大会に参加して交流するなり情報交換していきましょう。でも参加費が高い、発表の機会が欲しいという場合、サテライト・ミーティングを企画するのはいかがでしょう。古いたとえですが、1992年のリオデジャネイロ地球環境サミットでは、招待されなかったNGOが自主的に会合を開き、それが大きく報道されました。京都は狭い町ですので、会場と違う場所といっても移動にそれほど時間がかかりません。大学やお寺、場合によっては高校などで海外向けでも国内向けでもよし、展示や集まりや会議をこれから考えていきたいと思います。

                   ネット上では、すでに AMeeT Art Meets Technology というウェブサイトが「勝手に応援団」というページを作っています。

                  京都に「ICOM」がやってくる! 第1回:ICOMって何?

                  https://www.ameet.jp/feature/1466/

                  京都に「ICOM」がやってくる! 第2回:ICOM京都大会って何するの?

                  https://www.ameet.jp/feature/2144/

                  京都に「ICOM」がやってくる! 第3回:ICOMスアイ・アクソイ会長に聞く

                  https://www.ameet.jp/feature/2398/

                   ほかにも大阪市立自然史博物館の学芸員が情報発信源になっています。

                  ICOM NATHIST講演のお誘い

                  http://blog.livedoor.jp/sakumad2003/

                  ICOM京都大会2019開催まであと1年文化の拠点としての科学系博物館の取り組み 全科協_vol48_no5

                  直リンク http://jcsm.jp/wp-content/uploads/2018/09/vol48_no5.pdf  3.6 MB

                   

                   


                  ICOM総会は学芸員のオリンピックか

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                    JUGEMテーマ:博物館

                     ちょうど2年後の2019年9月、日本で初めての開催となるイコム大会が京都で開かれます。3年に一度の大会 general conference は、アジアでは日本より先に韓国のソウル(2004)と中国の上海(2010)で開催され、韓国ではそれを期に博物館が大きく変わったといい、中国では現在も国威発揚に大型館の建設が続いています。合理化と無理解によって冬の時代が長く続く日本でも、イコム京都大会を契機に博物館の地位向上を図ろうというのもうなづけます。ですので、文化庁や日本博物館協会、関連学界などは、かなりの人員と労力を捧げているのは当然のことでしょう。ごくろうさまです。ところが、主役となるはずの博物館や学芸員は、さほど興味があるように思えません。とりわけ、自然史や地方博物権の学芸員にとっては、なんやそれ、勝手にやってくれ、俺らには関係あらへんという雰囲気があるように思えます。

                     

                     イコムはすべての博物館施設をまとめる唯一の国際機関でありながら、現場の学芸員からすれば存在感もありがたみも感じない、出たいとも思わない、身近でもない、あってもなくてもよいような組織です。多くの学芸員は研究者を自負してるので、帰属意識も晴れの舞台も所属学会にあります。オリンピックに相当するのは国際学会です。ならばイコムは何か。館長や運営の立場にある人たちの交流の場でしょう。研究学芸員からすれば、優先順位は下がるのも当然です。では、運営も担う地方博物館の学芸員はどうか。トリクルダウンなぞ信じていないでしょう。京都で盛り上がったとしても、自分たちの状態なぞこれっぽちも変わらない、そもそも京都まで行く旅費も出ない、もし予算があるならば、それは研究や資料整理に使いたい、そんな感じではないでしょうか。国際交流に意味があり単純に楽しいという話もあるようですが、研究者はそれぞれの分野で実践しているのです。

                     

                     イコム京都大会が成功するには、現場の学芸員が開催意義に納得し、その後の博物館の処遇が良くなる道筋が見えることが必要です。それには、学芸員が積極的に策略を練り、中枢に向け発射することが必要と考えます。あと2年、せっかくの機会をうまく使っていきましょう。