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市町村の博物館条例

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    JUGEMテーマ:博物館

     授業の準備で市町村の博物館条例をつらつら見ていたら、自治体によってずいぶん異なることがわかった。自分の経験が常識となっているので、それとの距離が違和感となって現れるのだが。まず気になったのは、職員の項目。近くの博物館条例を見ると「館長及びその他の必要な職員を置く」なんてのがある。ここは登録博物館なのだが、職員の項に学芸員という文字がない。当初からこの文言だったのか、登録後に変更されたのかは調べていない。

     次ぎに減免規定。元勤務館の減免の主語は「教育委員会」で、さらに「その他館長が適当と認めた者」となっている。権限は現場にある。ところが入館料の減免が首長になっている館がそこそこあること。お金のことは首長部局という割り切りなのだろうが、使用料の減免は市長、前納を免除するのは教育委員会という例もあって整合性がないのではないかとも思ってしまう。窮屈なのは減免の主語が首長だけという条例。知り合いの研究者が来て、ちょっと見るからといってタダで入館させるのも市長にお伺いをたてることになる。実際にはそんなことはないのだろうが、それはそれで規律無視になってしまう。がちがちに厳しい規則は困るだけではないか。極力、現場に権限を持たせない、という思想が見えることもある。

     びっくりしたのは「博物館は、法令等の定めるところに従い、かつ、教育委員会の管理の下にその事業を遂行し博物館の目的の実現に努めなければならない」という条文。博物館は独立した機関と信じて疑わない身からすれば驚愕の一条だ。おなじ自治体に複数の博物館がある場合、それぞれの条例がぜんぜん違っていることもある。

     それから、登録博物館なのに条例に博物館協議会が示されていない館がいくつもあった。これはちょっと変だなと思って検索すると、いまは市町村では各種協議会などの設置を「附属機関条例」や「附属機関設置条例」というので一括して根拠を与える場合があることがわかった。この動きは2012–2013年あたりにあったようだ。ただ、検索では総説や解説にあたるウェブページが見つからない。総務省の説明があると助かります。条例と規則の役割分担も自治体によってばらばら。まあ、片方が詳しいともう一方がおおまか、という傾向はあるが。

     今回はじめて知ったのだが、市町村の条例を一括検索できるサイトがある。「条例Web」というのがそれで、おそらく例規集など請け負っている会社が運営していると思うのだが、わからない。博物館のボタンを押すと北海道から沖縄まで「1425件のデータがあります」。同志社大学の原田隆史先生も同様のサーチエンジンを作成しているが、それとは異なるようだ。

    条例Web:Top-page http://www.jourei.net

    条例Web:博物館等 http://www.jourei.net/main/regulations/87

    原田隆史 主催・共催プロジェクト http://www.slis.doshisha.ac.jp/~ushi/project.html

     これを使えば、そうとういろいろわかりますね。博物館経営論の強い味方です。


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