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仕事の年報2009年度版

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    JUGEMテーマ:博物館

     

    42名(生産11・アクア25・食品2・産経4)の学生が学芸員の単位を取得して卒業する。今年の卒業生つまり2006年入学生の当初履修者は64名であるから、65.6%、おおよそ3分の2の学生が学芸員の発令要件を得た。加えて2名の科目等履修生(修士課程1・社会人1)が単位修得者となり、オホーツクキャンパスでは合計44名が学芸員資格を得たことになる。


    法的には、学芸員は都道府県の教育委員会の登録原簿に登載された登録博物館に勤務し、その発令を受けた者だけを指す。学芸員の資格は教員とは異なり免許ではない。よって博物館を辞めれば学芸員ではなくなる。フリーの学芸員は法的にはあり得ず、有資格者だけに許可される制限行為も存在しない。ついでに言えば、名称の独占的使用の制度がなく、無資格者や要件を満たさない施設で学芸員を名乗っていても罰則規定はない。ここが医師や弁護士、教員とは大きく異なる点である。


    学芸員の名刺を持っていても、登録博物館以外の施設の職員は法的な意味では学芸員ではない。博物館法が管轄する博物館は登録博物館と、それに準じた内容を持つとやはり県教委が認めた博物館相当施設だけである。それ以外は国立も県立も市立も個人博物館も法的には同じ扱い、博物館類似施設である。博物館の名称もやはり使用制限はなく、誰がどんな施設や機関に使ってもよい。博物館の名称だけでは中身がわからないのは当然である。学芸員も博物館もその本質は法律や制度からは見いだせない。


    博物館資料は一部に文化財保護法が適用され、法が保存を義務づけた資料もある。しかし、大多数の資料に法的な担保はなにもない。学術的に重要なタイプ標本もしかりである。これらのコレクションを守ってきたのは外的な強制力ではなく、学術的な証拠や自然の奇跡、歴史や文化の対象物に価値を認めた人びとの意志であり、その実現は学芸員の仕事である。法や行政の保護もなく、場合によっては予算にも不自由するなかで、人類と地球の遺産を次世代に伝える努力を日々繰り返す。それは資料に価値を見いだす研究、保存環境の提供、設置者からの予算の獲得、社会的関心を高めるための教育までと幅広い。目的はおなじでも手段はさまざまで個性が発揮される営みである。地味ではあるが、かけがえのない仕事であると、こっそり胸を張って学芸員は働くのである。

     


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