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仕事の年報2011年度版

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    JUGEMテーマ:博物館

     

    来年度から博物館施行規則が変わり、学芸員の資格取得に必要な「博物館に関する科目」が現行の8科目12単位から9科目19単位に増加する。博物館展示論と博物館資料保存論が2単位、の科目として新設され、現行の教育学概論が博物館教育論と改名、生涯学習概論と博物館経営論は名前はそのままでそれぞれ2単位となる。今回の改訂に際しては、大学院教育や上級学芸員資格の新設、国際的な養成水準の確保、現代的要求への対応など多くの課題が検討されたが、実施可能な選択が学部での講義の増加であった。この改訂について、私立大学の関係者ではまったく別の視点で語られてきた。新規科目は専任教員で講義できるのか、外部講師の人材はいるか、その確保は大丈夫か、できない場合は学芸員養成課程そのものが維持不能になるのではないかという不安である。


    養成課程の廃止は現実のものとなった。すでに北海道の酪農学園大学や大阪府立大学、岡山県立大学では平成23年度の入学者から、青森県にある北里大学獣医学部、宮城教育大学、麻生大学、山梨英和大学、広島修道大学、県立長崎シーボルト大学、阿蘇山麓の東海大学農学部は新課程となる来年度24年の入学者から学芸員養成課程を廃止する。予想されていたとおり地方の小規模な大学が名を連ねているが、課程の廃止は公立大学、農学系や獣医学系を含む中核的な大学までに及んでいる。理由については、担当教員の確保が困難というよりも、就職がなく費用対効果が低い、そして学生からのニーズがないのだという。


    逆に国立大学のなかには、岐阜大学教育学部と応用生物科学部、三重大学生物資源学部のように、来年度から新規に学芸員課程を設置する学部がある。どちらも農学系の学部である。私立大学や公立大学とは時代への適応方法が異なるのか、それとも学生の志向の差なのか。私立大学と国立大学では動きが違う。国立の大学博物館は、大学博物館等協議会を組織、博物科学会を設けて資料の研究を進めている。一方、私立大学は学芸員養成課程で構成する全国大学博物館学講座協議会(全博協)に集まる。ここでの近年の関心事はもっぱら文部科学省の動向であった。両者に接点は少なく壁は高い。


    教育の内容はさらに個別的である。文部科学省は授業項目を明記してはいるが、実際には教員の自由裁量が大きい。課程の授業について、現実の博物館は希望や要望をもっと届けるべきではないか。学会は養成内容にもっと目を向けてほしい。現場との対話、研究の後ろ盾によって、大学は学芸員養成課程を実りある内容に育てることができるのだから。

     


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