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仕事の年報2016年度版

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    JUGEMテーマ:博物館

     

    2.1%。これが当課程の新卒者が、契約職員以上の身分でミュージアムに就職した実績である。実数では241名中の5名である。2014年卒業者から就職者が出ていないので、このところ就職率は下降の一方であるが、それでも実態調査に基づく全国平均0.6%の3倍以上の数字である。2013年3月の時点では、132人の修得者に対し、同等の待遇で博物館等に職を得ていたのは5人、博物館への就職率は3.8%となり、これが最大瞬間風速であった。転職や臨時職員、水族館などに一時的にでも在職していた卒業生は現時点で13人、昨年までの単位修得者206名で割ると含める6.3%、16人に1人となる。このあたりが現実的な数字に思える。新卒でなくとも、何らかの形で博物館や動物園、水族館で仕事ができるチャンスは、案外高いのかも知れない。


    就職者が何人いるのか。大学の学芸員養成課程はいつも問い続けられている。学芸員養成は学究の場でなく、資格課程であるので、就職人数が評価の第一基準である。言ってしまえば、学芸員を輩出しない課程では存在意義がないのである。学芸員は、社会教育機関としての博物館で働く専門職員である。そのための知識や技能、経験を生かしたノウハウは養成課程で学ぶが、いわゆる専門というのは学部学科での教育で修得するのである。一部の私立大学では、日本美術史や考古学関係の単位取得を学芸員資格の要件とし、卒業生は文化財保護法で義務付けられた緊急発掘の現場を渡り歩き、地方の博物館に就職するというコースがあった。考古学が専門で発掘調査の出土資料を展示する博物館の学芸員。ひとつの類型としてそれがあった。


    自然史系の学芸員が現れるのは、北海道の地方では1970年代末のこと。団塊世代の彼らはすでに退職したが、自然史学芸員のイメージは特定少数の彼らが作り上げたものだ。現在の若手学芸員はそのイメージを持って就職し、そして新たな形を展開しつつある。自然再生、関連団体のコーディネイト、美術制作など、個性を生かし、第一世代には見られなかった新しい学芸員の姿が見えてきた。もちろん美術館にも学芸員がいる。資料の採集や製作ではなく、市場価値を有する人類の到達点を、世界の隅々から交渉を重ねて実現する特別展を最大の仕事とする。彼らの姿は、考古学とも自然史系とも異なる学芸員のイメージを体現している。


    動物園水族館の学芸員像は、いまだ明らかではない。解説や教育事業の担当者としての姿はあっても、外に名前が聞こえる学芸員は現れない。仕事の主役は飼育員であり、至高の専門家に獣医師がいて、方向性は園長が決める。その狭間にあって、学芸員は、いまだ迷いの中にいる。動物の飼育を目的とする機関の学芸員とは何者か。その問いに答えるのが、これからの仕事である。何かが見えてきたならば、そっと教えて欲しい。後に続くものがいるのだから。

     


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