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ICOM京都大会に参加するには

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    JUGEMテーマ:博物館

    1.ICOMとは

     ICOM京都大会まで半年となりました。この時点になっても、ICOMってなに?どうやって参加するの? という素朴な疑問があるように思います。当方、ICOMの個人会員ですが京都大会には何も関わっておらず、罪滅ぼしにICOMと大会の参加について書いておこうと思います。

     まずICOMとは何か。ICOMは International Committee of Museum の略称で日本では国際博物館会議と訳しています。本部はパリにあり、公用語は英語、フランス語、スペイン語の3か国語です。ICOMの英語はちょっと違和感があったりするので、実際の文書作成言語はフランス語ではないかと思っています。ICOMはUNESCO(ユネスコ:国連教育科学文化機関)との協力関係がありますが国際機関ではなく、NGOです。国際機関であれば政府が直接分担金を支払い、事務局も省庁内に置かれますが、ICOMはNGOなので国内の事務局は公益財団法人日本博物館協会が持っています。

     さて、ICOMの読み方です。長らく日本ではラテン語式に「イコム」と呼んできました。出版物でも「イコム」と表記されています。ところが、京都大会の準備が始まるとにわかに「アイコム」と読む人が出現し、瞬く間に広がっていきました。そしてついに、京都大会では英語の使用場面の多さから「アイコム」と統一することにしたそうです。

    http://icom-kyoto-2019.org/jp/FAQ.html

     

    2.ICOMの委員会と会員資格

     加盟する国ごとに組織された国内委員会 National Committee と専門分野に分かれた国際委員会 International Committee で構成されています。日本博物館協会が事務を担当しているのはICOM日本委員会ということになります。国際委員会は30あり、それぞれに年次総会を開催しています。重要なのは国際委員会で、ICOMのなかみはつまりは国際委員会の活動といえます。委員会といっても加入に特別な資格はなく、ICOMの会員であればひとつでも複数でも入ることができます。委員会の種類は京都大会のページでも紹介されています。

    発表募集のページ

    http://icom-kyoto-2019.org/jp/calls-for-papers.html

     ページを見ればわかるとおり、国際委員会の多くはコレクションに関するものです。あるいは人材育成やマネジメントといった運営面での委員会もあります。ICOMの大きな役割は国際基準を作る=文章化することですから、国が異なっても共通の話題が可能、各国が目指すべき/最低限守るべき基準という議題に適合的です。私は辺地に居て町立博物館の勤務経験があることから地方博物館国際委員会 ICR (International Committee for Regional Museums) に入っているのですが、これはどうにもうまくない。地方博物館の目的や課題はそれぞれですので共通の基準を議論するなどできない。事例を報告しあっても「すごいですね」「たいへんですね」といった感想以上のものがでてこないように思っています。国内にはICRで頑張っている学芸員がいるので、別の面で京都大会を手伝おうとしているわけです。

     話がそれました。ICOMで疑問なのは加盟資格です。博物館での加盟は団体会員の区分となります。が、この金額が高額らしく、昨今の緊縮財政で加盟を辞める館園が出てきていると聞いています。個人会員はそれより安いので、博物館の職員個人の加盟が現実的かも知れません。問題はこの個人会員の資格で、博物館の職員や退職者、関連する行政部局や大学の教員、現役の学生などは会員になれるのですが、学生や大学院で博物館について学んだり研究したけれども博物館や関連する職に就けなかった人には加盟資格がないのです。もしかしたら運用が変わっているかも知れませんので、知っている方がいれば教えてください。

     

    3.ICOM京都大会の参加と発表

     今年9月に京都で開催されるのはICOM京都「大会」です。国際委員会や国内委員会のすべてが一堂に会するのが「大会」で3年に1度開かれます。さて、どうやって参加するのか。参加そのものはお金を払って申込すればよいのですが、ICOMや大会の仕組みがよくわからないですね。プログラムを見てみましょう。日付毎に別ページで面倒ですが、参加条件について「ICOM会員のみ」「ICOM各委員長等のみ」という記号が見えます。これらの記号がないイベントは誰でも参加できるはずです。

    プログラム日程表

    http://icom-kyoto-2019.org/jp/schedule.html

     一方、発表はどうすればできるのか。ICOMは国際委員会の集まりなので、委員会ベースのセッションは委員会が発表を募集します。委員会が主催する大会のテーマや募集日程は上に書いた「発表募集」のページで委員会名をクリックすると現れます。すでに大方の募集は締め切られているようです。発表申込の締切日を2−3月が多く、なかには3月末というのもけっこうあります。国内的には4月上旬まで待ってもらえれば科研費など予算の裏付けが得られるので、配慮が欲しかったところです。

     実際には発表までするよりも参加だけの人が多いと思います。参加費が高額で早割が今月までということで、部内決裁もあるのでそろそろ参加するかどうか決める期日がせまっています。ところが、いまだプログラムが明確ではありません。4月14日現在、おもしろそうなオフサイトミーティングのページは「作成中」、ソーシャルイベントも中身が不明です。なにしろプログラム日程表の公開が4月5日なので、基調講演や全体会合のプレナリー・セッションがようやく決まったという感じなのでしょう。とにかく準備スタッフが不足しているのだと想像します。

     

    4.ICOMのなかの日本と地域組織

     ところでICOMの大会、前回は2016年のミラノ、その前は2013年のリオデジャネイロ、アジアでは2004年のソウル大会が最初の開催で次が2010年の上海でした。日本は3番目。日本委員会が前回のミラノ大会の報告書で公開しています。

    事務局からのお知らせ 「ICOMミラノ大会2016の報告を公開いたしました」

    https://www.j-muse.or.jp/icom/ja/office.php

    直リンク https://www.j-muse.or.jp/02program/pdf/ICOMMILANOHOUKOKU.pdf  2.5 MB

     また、ICOMには8つの地域組織 Regional Alliance があり、日本はアジア太平洋地域連盟 ICOM-ASPAC (Asia-Pacific Alliance)[アスパック] に加盟しています。こちらも日本が初めてホストとなったのが2009年になってからでした。ちなみにこれも数年前までは「アジア太平洋委員会」との訳も散見されます。固定した事務局はなく、委員長の所属館が事務をおこなうそうです。現在の委員長館は大韓民国国立中央博物館。このとおりアジアの博物館界において日本は完全に出遅れています。当局(の担当者?)にも危機感があったようで、下の報告書の「はしがき」にはあせりが正直に記してあります。ASPAC については日本博物館協会の報告書に詳しく、とくに「参考資料1/2」が初心者向けの内容です。

    平成21年度 アジア・太平洋地域の博物館連携にかかる総合調査報告書

    http://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/shinko/hokoku/h20/1409472.html

    *報告書のなかは20年度となっています。

     アジアで最初にICOMの大会を誘致した韓国では、大会の前後で博物館施策が大きく変化した、よい方向に向かったといいます。これも卵と鶏の問題で、もともと博物館に熱心だったから大会を誘致できたのかも知れません。日本も京都大会を契機に不景気な顔から脱却したいものです。

     

    5.衛星会議「サテライト・ミーティング」を

     ICOM京都大会は世界から博物館人が集まる初めての機会です。せっかくなので、大会に参加して交流するなり情報交換していきましょう。でも参加費が高い、発表の機会が欲しいという場合、サテライト・ミーティングを企画するのはいかがでしょう。古いたとえですが、1992年のリオデジャネイロ地球環境サミットでは、招待されなかったNGOが自主的に会合を開き、それが大きく報道されました。京都は狭い町ですので、会場と違う場所といっても移動にそれほど時間がかかりません。大学やお寺、場合によっては高校などで海外向けでも国内向けでもよし、展示や集まりや会議をこれから考えていきたいと思います。

     ネット上では、すでに AMeeT Art Meets Technology というウェブサイトが「勝手に応援団」というページを作っています。

    京都に「ICOM」がやってくる! 第1回:ICOMって何?

    https://www.ameet.jp/feature/1466/

    京都に「ICOM」がやってくる! 第2回:ICOM京都大会って何するの?

    https://www.ameet.jp/feature/2144/

    京都に「ICOM」がやってくる! 第3回:ICOMスアイ・アクソイ会長に聞く

    https://www.ameet.jp/feature/2398/

     ほかにも大阪市立自然史博物館の学芸員が情報発信源になっています。

    ICOM NATHIST講演のお誘い

    http://blog.livedoor.jp/sakumad2003/

    ICOM京都大会2019開催まであと1年文化の拠点としての科学系博物館の取り組み 全科協_vol48_no5

    直リンク http://jcsm.jp/wp-content/uploads/2018/09/vol48_no5.pdf  3.6 MB

     

     


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