日本のミュージアムの YouTube チャンネル

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    JUGEMテーマ:博物館

     昨日ツイッターでユーチューブに博物館のニュースチャンネルがないと嘆いた。そこで博物館の YouTube チャンネルを拾い出してみた。

     動くものを展示している動物園や水族館、そして科学館は動画と相性がよい。けれども美術品の鑑賞や民具の使用実演、講座や講演の記録、修復作業や保存配列、野外調査の様子など、動画こそふさわしい博物館の資料もある。博物館の資料に関連した文化財や町並み、自然の風景もコンテンツとなるではないか。

     コロナの影響や展示工事などで休館している時など潜在的な来館者とのつながりを保つ重要なチャンネルのはず。今後は博物館の動画チャンネルが増えることを願う。国立の博物館で記載が無いのはチャンネルが見つからなかった博物館。

     なお、< >で囲った博物館名はユーチューブチャンネルには無いので補ったもの。検索や初心者のことを考えれば、チャンネル名には日本語の正式名称や愛称を入れるべきだ。

     

    <日本科学未来館>MiraikanChannel

    チャンネル登録者数 1.15万人

    展示紹介、実験映像、トークショーにアニメーションと充実している

    https://www.youtube.com/user/MiraikanChannel/featured

     

    【国立科学博物館公式】かはくチャンネル

    チャンネル登録者数 記載なし、42,135 回視聴

    展示紹介から普及事業、研究者のモノローグなどで画面サイズもさまざま

    https://www.youtube.com/user/NMNSTOKYO/featured

     

    <東京国立博物館>TokyoNationalMuseum

    チャンネル登録者数 3310人

    常設展示や庭園のツアー、研究員による展示解説など正統派、外国の博物館員も登場

    https://www.youtube.com/user/TokyoNationalMuseum/featured

     

    京都国立博物館トラりん

    チャンネル登録者数 990人

    ゆるキャラが折り紙したり、職員が集まって短歌を作ったりバラエティー番組風

    https://www.youtube.com/channel/UCTL5ge3mys0fmncEYDFKb_Q

     

    国立国際美術館

    チャンネル登録者数 319人

    メイキング映像、プロモーション映像、開館40周年記念展は12人が語る

    https://www.youtube.com/channel/UCmox3PPjarAXuRQNh4jcxkg

     

    国立民族学博物館 (National Museum of Ethnology, Japan)

    チャンネル登録者数 587人

    特別展の紹介がほとんど

    https://www.youtube.com/user/MINPAKUofficial

     

    国立歴史民俗博物館 National Museum of Japanese History

    チャンネル登録者数 210人

    全6点中、国際企画展示「昆布とミヨク−潮香るくらしの日韓比較文化誌」が5点

    https://www.youtube.com/channel/UCUwOqRe9BMv1qhnQzecsI3Q/

     

    <標津サーモン科学館> shibetsusalmon

    チャンネル登録者数 30人

    チョウザメ腕ガブ、踊るユムシ、ぷかぷかカイダコとかマニアック

    https://www.youtube.com/user/shibetsusalmon/featured

     

    仙台うみの杜水族館公式

    チャンネル登録者数 562人

    メガネカイマンやアメリカビーバー、ダイオウグソク食レポなど意外な内容

    https://www.youtube.com/channel/UCxI5Dn0i7ACI_0GSic4tqHw/videos

     

    埼玉県こども動物自然公園(SaitamaChildrensZoo)

    チャンネル登録者数 2180人

    もくもぐタイムや赤ちゃんなどほのぼの映像、ペンギン突撃シリーズなど

    https://www.youtube.com/channel/UCNCn6mBBDfbuTr4Q0_4xcWg

     

    <江戸東京博物館>Edo-Tokyo Museum

    チャンネル登録者数 246人

    展示室や特別展の紹介。展示室が広いので屋外収録のよう

    https://www.youtube.com/channel/UCHULFfLXb5QsTH6ASDW5jRA

     

    東京ズーネットBB

    東京動物園協会が運営する館園(上野動物園、多摩動物公園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園)の動画配信サイト。動物図鑑、お知らせ、シアターで動画の数は約1000本!

    https://www.tokyo-zoo.net/movie/index.html

     

    横浜・八景島シーパラダイス

    チャンネル登録者数 1530人

    シーパラCM、よしもとお笑い芸人、イルミネーションなど娯楽番組が主流

    https://www.youtube.com/channel/UCe-b3jajzFAY3NzwYNS7I4w

     

     

    新江ノ島水族館公式チャンネル

    チャンネル登録者数 1.74万人

    クラゲから軟体、魚、イルカショーまで盛りだくさん。LIVE配信が売り物のよう

    https://www.youtube.com/user/EnosuiMovie/featured

     

    新潟市水族館 マリンピア日本海

    チャンネル登録者数 132人

    動画5本、うち4本が6年前。もっと見たいです

    https://www.youtube.com/channel/UCDXsTKaJXaO88NpqHLBdmBw

     

    公式動画チャンネル名古屋港水族館

    チャンネル登録者数 4170人

    世界唯一というナンキョクオキアミへの給餌、水族館近くでのスナメリ調査など貴重

    https://www.youtube.com/channel/UCK3U37dAefBwlGpTPOeywcA

     

    鳥羽水族館

    チャンネル登録者数 4720人

    アザラシ、イルカ、ジュゴンなど海生哺乳類が主体、水中入社式も

    https://www.youtube.com/user/TobasuiChannel?feature=mhee

     

    琵琶湖博物館

    チャンネル登録者数 33人

    回るボルボックスとかミジンコの血流など微小生物プランクトンが充実

    https://www.youtube.com/channel/UCGrj0nj628Y0jTaUSvLgLFQ

     

    舞鶴引揚記念館

    チャンネル登録者数 記載なし

    動画6本、地域学習が主体

    https://www.youtube.com/channel/UCJGJpPGVCw-_Flq3FaeHBFQ

     

    大阪市天王寺動物園(Osaka Tennoji Zoo)

    チャンネル登録者数 4420人

    飼育日誌やエンリッチメント報告のほか、イギリスに婿入りしたコアラの近況

    https://www.youtube.com/channel/UCRb3-Nt6Z6JQmJHMyMgsLkA

     

    大阪・海遊館 Osaka Aquarium Kaiyukan

    チャンネル登録者数 4780人

    可愛い系もバックヤードもあり、1時間を超える動画は環境ビデオによいかも

    https://www.youtube.com/user/OsakaKaiyukan

     

    アドベンチャーワールド公式チャンネル

    チャンネル登録者数 8340人

    はやりパンダ、ライブ配信もある

    https://www.youtube.com/channel/UCVEmpbL5VzfXsULPFeRsj4Q

     

    城崎マリンワールド 公式

    チャンネル登録者数 記載なし

    魚や海獣のほか、釣りのコマーシャルも

    https://www.youtube.com/channel/UCE7FFwlwLahtrRgdBlaFi_A

     

    【公式】池田動物園 ikedazoo

    チャンネル登録者数 103人

    個体の行動主体で1分未満の短いものが多い

    https://www.youtube.com/channel/UCkPdzsm1uR5ZOunQYuONaCA

     

    四国水族館公式/SHIKOKU AQUARIUM

    チャンネル登録者数 649人

    大人の水族館妄想ロマンス、スタップの話、水族館の建設工事のメイキング映像

    https://www.youtube.com/channel/UCauB61GghuPwz5aEFVFEkgA

     

    愛媛県立とべ動物園

    チャンネル登録者数 1460人

    キリン、ライオン、アフリカゾウと大型動物が多い印象

    https://www.youtube.com/channel/UCATcoO27HDvwzkdEOFx_69A

     

    福岡市科学館

    チャンネル登録者数 54人

    できたばかりか動画15本、いちばん古いのが1月前

    https://www.youtube.com/channel/UCPoWzxvstQ0nUXA8Cy2YFsQ

     

    長崎バイオパーク公式 

    チャンネル登録者数 26.7万人

    カピバラだけで何十本、もっと? うちで踊ろうコラボもある

    https://www.youtube.com/user/biopark

     

    <大分マリーンパレス水族館 うみたまご>umitamagostaff

    チャンネル登録者数 1090人

    CMながら読み聞かせ絵本、多言語のPR動画がある。これはユニーク

    https://www.youtube.com/user/umitamagostaff

     

    【公式】海洋博公園・沖縄美ら海水族館

    チャンネル登録者数 1510人

    美ら海が多いが、海洋博公園の植物園や博物館の動画も

    https://www.youtube.com/channel/UCXjkj8-HaOvX7o-fzhOu7Ng

     

    OKINAWA ZOO & MUSEUM公益財団法人沖縄こどもの国

    チャンネル登録者数 332人

    動物園ほ他、ワンダーミュージアム、科学実験や工作。タイトルのみ多言語

    https://www.youtube.com/channel/UCab3aiKQAmnlmUaN9nwy3WQ/videos

     

     ここまで見たところ、国立の博物館はおしなべて動画の数が少なすぎる。チャンネル登録者数が数百人はその反映である。それから概要の記述が簡素すぎる。短い文章の過半数が著作権の主張や管理者などの事務連絡ではなく、もっと詳しく興味が持てる内容にしてほしい。

     それから個別の博物館ではコンテンツ不足であれば、束アイドルよろしくポータルサイトを作るとよいかも知れない。実現するまでこのページがその役目を負っておきます。

     ではお前はどうなんだ。動画をアップロードしているのかと問われれば、わずか4本だが、いちおうチャンネルは持っている。世界的にもめずらしい場面を記録した動画が1つあり、この1本のためにチャンネルを作った。画質はミニDV、キャプションはわずか、ナレーションなしだが、2014年7月27日に公開して以来150万回以上視聴されている。残り3つは数百回だが。

     

    UNI Yoshikazu

    チャンネル登録者数 3170人

    動画4本、実質1本で150万ビューを稼ぐ

    https://www.youtube.com/channel/UCWrwmQS1rXdQLIj1ZsyaQtw


    ICOM京都2019最終報告書と別冊博物館研究「ICOM京都大会2019特集」

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      JUGEMテーマ:博物館

      ICOM京都大会の報告書をざっと見ました。別冊博物館研究「ICOM京都大会2019特集」と合わせて読むとうまい具合に理解が深まります。

       

      ICOM京都2019最終報告書(日本語版)

      190ページ pdf 23.3 MB

      https://www.j-muse.or.jp/02program/pdf/kyotohoukokujap.pdf

       読むのがたいへんなので、要点を書き出しました。結果報告として重要なのは採択された決議の全訳、資料としては登録(国別参加者数ほか)や参加者アンケート、参考資料の京都大会を準備実施してきた委員、協賛企業や出展者の名簿などがおもしろいでしょう。国別参加者ではロシアが6位というのに驚きです(165p)。プログラムについてはICOM委員会リスト(16p)を参考に興味のある国際委員会のセッションを見る、

       個人的には秋篠宮殿下の「開会式のおことば」(29p)がお守りのように重要で、「標本」という言葉を用い、最も大切な意義に「保存と継承」を取り上げたことに感激しています。

       

      内容

      挨拶 スアイ・アクソイ会長、佐々木丞平ICOM京都大会組織委員長(京都国立博物館館長)、青木保ICOM日本委員会委員長(前国立新美術館館長)、銭谷眞美日本博物館協会会長(東京国立博物館館長)

      概要 6ページ

       数字で見る京都大会(写真多数)、日程表、大会テーマ「文化をつなぐミュージアム―伝統を未来へ―」

      プログラム(簡単な内容報告を含む) 116ページ

       ICOM委員会などリスト、規約に基づく会議(採択された決議全訳、日本委員会提出決議文の解説)、式典、式辞、開会式、基調講演、全体会合、国際委員会(分科会)のセッションほか

      運営 大会への歩み、主催者、運営組織、開催都市と会場、ボランティア、参加助成、PR、登録(国別参加者数ほか)、参加者サービス 18ページ

      参加者アンケート(日本在住者41%) 4ページ

      財務報告 2ページ

      大会後のイベント 2ページ

      参考資料 26ページ

       委員会名簿(組織委員会、運営委員会、事務局)、協賛協力一覧、出展者、オフサイトミーティング(会場外会合)、エクスカーション(巡検)、制作物一覧(参加者への配付資料、各種パンフレットほか)、メディア掲載、参考資料(ICOM規約、博物館の定義:現行および新提議案)

       

      別冊博物館研究「ICOM京都大会2019特集」 1320円+送料400円

      https://www.j-muse.or.jp/03books/other.php

      「報告書」はとっつきにくい、よくわからないという場合は、この「別冊」から読むのがよいと思います。「報告書」と重複する内容はごくわずかで、京都大会の概要を知るにはこちらの「別冊」が適しています。巻頭の委員長や会長などの挨拶が、どれもえらく力が入った文章で微笑ましいと感じるほど。手応え十分だったのでしょう。本文はさまざな立場で博物館に関わる人たちの寄稿で、いろいろな意見や経験を知ることになります。日本とICOMの関係と歴史、京都大会実現までの経過など時間的な奥行きからも理解ができます。

       

      この2冊を回し読みして館内でICOMについて話ができればよいのですが、いまの状況ではリモート飲みでやるしかないかも。


      報告書は刊行の前と後とで世界を変える―ICOM京都大会の振り返りイベントの報告書の感想

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        JUGEMテーマ:博物館

        報告書は世界を変える第一歩

         報告書と聞いて思い起こすのは、自分の場合は「ローマクラブ報告書 成長の限界」(1972)や「経済構造調整研究会報告書 前川リポート」(1986)、「学芸員養成の充実方策について「これからの博物館の在り方に関する検討協力者会議」第2次報告書」(2009)などがある。これらは議事録や講演録として参加者以外にも内容を伝えること、それに加えて提言や宣言など意見集約と意見公表をおこない、その後の世界を変える役割を担っている。世界を変えるとは大げさだが、制度や仕組みの変更の手続きとしての諮問機関の報告でなくとも、調査で歴史や実態を明らかにすることや研究によって無意識におこなわれてきた事柄やきれいごとに隠された意味を浮かび上がらせるなど、論文や報告書には人々の考えや行動、物の見方を変える力を持つ。ちいさいことでも報告書にはその気概がほしい。

         

         

        ICOM京都大会の振り返りイベントとは

         以下は次の報告書を見ての感想となる。当日の参加はできなかったため、知り合いから送ってもらった。

        「ICOM京都大会からみた あたらしいミュージアムのかたちとは? ICOM京都大会2019報告会・ワークショップ報告書」

        日時:2020年1月13日(月・祝)

        会場:京都文化博物館

        主催:京都歴史文化施設クラスター実行委員会・ICOM京都大会2019組織委員会・ICOM日本委員会

        平成31年度文化庁地域の美術館・歴史博物館を中核としたクラスター形成事業

         

        報告書は公開されて意味を持つ

         このワークショップは「平成31年度文化庁地域の美術館・歴史博物館を中核としたクラスター形成事業」として国費も投入された公のものである。国民すべてが内容を知る権利を持ち、なによりも全国の博物館や学芸員が参照すべき内容を持つ。開催場所は京都市であり、北海道や沖縄、本州でも空港から離れた場所からの参加は時間的にも金銭的にも困難である。当日参加できなかった人たちに向けて何らかの報告をインターネットで公開するのは義務ともいえる。

         ところが現在のところ、この報告書はインターネットでは公開されていない。前半部分は京都大会の内容紹介で舞台上の人物や投影されたスライドを多数収録していること、当日の解説もオリジナルな内容が含まれるからだろう。後半のワークショップも人物が大きく写る写真などが含まれており、全体をネットで公開するのは著作権の尊重や肖像権から控えたと想像する。とくに解説では限られた参加者に向けたその場限りの話もあったかも知れず、不特定多数が目にする、誰が読むのかわからないインターネットでは公開が難しいのは理解できる。もっともこの感覚は日本独自のもので、紙媒体がOKならネットでも大丈夫のはずだという考えもあるかも知れない。

         それはさておき、公開できる範囲、積極的に公開すべき内容はないのか。それとも公開するほどの価値がないのか。公開した場合の費用対効果が読めないのか。現在のネット情報は開催のお知らせに限られる。ついでに言うとチラシがpdfでリンクされているが 8.5 MB もある。これくらいのファイルサイズならばクリックする前にわかるようにリンクのところで明記してほしい。現在はリンク切れになっているし、もうちょっとメンテナンスできていたい。ファイルサイズは国会図書館のサイト Current Awareness Portal の情報。いつも思うのだが、ここのサイトは要領よく簡潔で参考情報も気が利いている。

        関連イベント | ICOM Kyoto 2019

        https://icom-kyoto-2019.org/jp/related-events.html

        【イベント】ICOM京都大会2019報告会・ワークショップ「新しいミュージアムの形とは?」(1/13・京都) | カレントアウェアネス・ポータル

        https://current.ndl.go.jp/node/39687

         

        見られることを意識したい

         報告書にとって途中経過は省略可能であり、重要なのは結果である。議論の経過は掲載すべきだが、雑談は必要ない。今回の報告書でいえば、ワークショップの結果が最も重要である。しかし報告書の内容ではワークショップの成果が結局何だったのか、わからない。班別学習でアクティブラーニングをしたのはわかるが、そこでの発話は班の意見なのか何なのか。アンケートの回答が掲載されているが、まとまりなく不完全な文字列をどう受け取ればよいのか。平たい板に付箋を貼り付ける作業はもはや陳腐で、若い人は小学生からやらされてきた。あの方法は口下手であっても意見が出しやすい利点があり、意見を引き出す方法としては効果がある。報告書にはマジックで意見を書き込んだ模造紙を博物館の専門家が広げて持ってる写真、伝えたいことを記したサイコロが並んだ写真が多数掲載されている。教育学関係の学会発表なら付箋からアレンジして活発な発言が得られたとする証拠写真になるだろうが、これはICOM日本委員会の報告書である。財界や政治家の偉い人たちが報告書を手に取ったとき、へーICOMってお気楽な集まりなんだなあ、という印象を与えないだろうか。古い言葉でいえば、女子供の博物館という偏見を持たれてしまうのではないか。報告書は読者に向けた物であると同時に、政治や経済界に向けた宣伝道具としても機能する。そこまで考えた上で、この編集内容だったのだろうか。

         ワークショップが和気あいあいとするのはかまわない。意見を求めても発言する人が固定するので、何らかの仕掛けが必要なことも多い。けれどもそれはその場の都合であって、公的な報告書では不要ではないのか。教育学的な成果発表は切り離して別にすればよい。

         

        意見の形成は積み上げて成る

         ICOM京都大会の宿題は「ミュージアムの定義改正」である。このワークショップのタイトルも「あたらしいミュージアムのかたちとは?」と宿題を受けたものである。けれど報告書にはワークショップの結果が見えない。活発な意見交換があり、たくさんの意見が出され、班や参加者で共有しました。それが何なのか。共有すべき範囲は日本の博物館関係者全体ではないのか。そのための報告書のはずであり、公開すべきはワークショップの成果である。それをインターネットで公開して博物館関係者の共有物とするべきではないのか。もちろんワークショップの結果は日本全体の統一見解ではない。各論羅列でよいのである。それでも一定規模の人数の意見交換の後に生まれた結果としてコンセンサスが得られたのであれば一定の意味がある。それを第1段階の基礎として、日本博物館協会なりICOM日本委員会が参加者以外からの意見を募集する。そして日本委員会の見解をまとめていくという、ICOM日本委員会としての新定義に対する意見の積み上げ、組み立てが可能な機会だったのではないか。

         現在、ICOM日本委員会は会員に向けて定義改正に関する意見収集を呼びかけている。しかしそれは京都会議以降の意見集約の段取りや道筋がまったくないままの一般公募である。1月のワークショップが意見集約に位置付けされておらず、せっかくの開催があまりにもったいない。

         Facebookには「ICOM「ミュージアムの定義改正」についての意見交換グループ」が存在するが、当初から投稿者は少数で、3月以降は更新がほとんどない。原因のひとつが最終的にはICOM日本委員会の意見集約との関係が不明なこと、そこに向かう道筋が不明なことに思える。長い在宅時間が何かを変えるか。


        新しい博物館の定義に関してICOM日本委員会が意見収集

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          JUGEMテーマ:博物館

          きのうICOM日本委員会から会員あてのメールが届き、年次総会の延期と博物館定義の意見募集について案内がありました。日本委員会の意見募集は6月末日まで受付とのことです。全文とICOM事務総長の会議延期を伝える手紙を貼り付けます。

           

          意見収集は会員からですが、ICOMの趣旨からすれば博物館や関係機関・企業で働く人や研究者であれば会員外からでもかまわないでしょう。もし会員外からの提案は受け付けないという場合は当方が代わって意見提出しますのでお知らせ下さい。

           

          意見収集や提案が結果的にICOMの新定義に反映されなくとも、多くの異なる博物館、働く立場や境遇、目指す方向から意見が出されることは博物館の業界にとってプラスになります。日本の博物館に対する意見提起や批判批評は、官邸や官邸官僚からのものが幅をきかせています。博物館の伝統的な考えや行動様式を小馬鹿にし、文部科学行政や文化財保護行政の流れを無視したものですが、見方によっては因習やしがらみにとらわれない斬新な提案ともいえます。

           

          昨日、2020年4月10日も「文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律」(文化観光推進法)が成立したばかりです。具体的な中身はWiFiやキャッスレス情報でデジタル化のようです。これは文科省の法律の概要に明記されています。例によって計画を作成して認定を受ける、推進事業者と連携するなどとされ、結局は作文屋と仲介屋に税金をつぎ込む仕組みです。

          文部科学省のページ

          https://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/mext_00379.html

          NHKの記事

          https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200410/k10012379201000.html

           

          いまの政権はこのような事業を推し進めるのでしょう。博物館の現場からすれば、それに対向する意見集約、その前提となる意見交換の場が必要なのです。ICOMの新しい定義への意見収集が、そのきっかけになればと思っています。

           

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          ICOM日本委員会

          会員 各位

          (bccでお送りしています。

          新型コロナウイルス感染防止に係るICOM関連事業等の計画変更について、つぎのとおりお知らせいたします。

          <新型コロナウイルス感染防止に係るICOM関連事業等の計画変更について>

          *ICOM本部から

          2020年の年次総会、諮問会議の延期について:2020年6月10日〜12日の日程でパリにて開催予定だった年次総会と諮問会議は延期となりました。新しい日程は未定となっています。

          (添付:本部事務局長からの通知)。

           

          *ICOM日本委員会から

          1. 2020年の国際博物館の日記念シンポジウムの開催について(ICOM日本委員会):

          5月16日(土)に東京国立博物館にて開催予定だったシンポジウムは、集会形式での開催は行わないこととします。現在、主要なプログラムについて、感染リスクのない形でインターネット配信することを検討しています。詳細は決まり次第ご案内します。

          2. ICOM日本委員会の2020年度の理事会及び年次総会の開催について:

          5月に開催すべく準備を進めてきた今年度の理事会と総会は、集会形式の会議は行わず、書面による開催といたします。書面理事会にて成案を得た議案を各会員に郵送し、葉書で返信いただいた結果に基づき審議を行い、結果を通知する予定です。議案書の発送は5月上旬を予定しています。

          3. 採決延期となったICOM規定の博物館定義見直しに対する意見募集について:

          本年1月にICOM本部から示されたスケジュールによると、MDPPでの継続的検討を経て、2021年6月の年次総会にて採決予定となっています。ついては、日本委員会としても国内会員のご意見を収集することといたします。ご意見をいただける方は、6月末日までにICOM日本委員会

          <icom@j-muse.or.jp> へメールにて「博物館定義に対する意見」のタイトルを付してお送りください。

          ICOM日本委員会