博物館の新定義に対する意見

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    JUGEMテーマ:博物館

     

     ICOM日本委員会が今月末(2020年6月)を締め切りとしている「博物館の定義に対する意見」を先ほどメールで送信した。これは昨年9月に開催された第25回国際博物館会議ICOM京都大会の臨時総会の議案となり、非常に多数の意見表明がおこなわれた後に採択の延期だけが決まったICOM規約に組み込む博物館定義の改訂に対する意見である。

     延期された採択は昨年の京都大会の会場では今年6月にパリでおこなう年次総会でとアナウンスされたが、その後、今年の総会は議論だけで採択は来年2021年以降とされた。今年の総会では、ICOMの国際委員会(分科会)や国内委員会(国別組織)が意見集約したものをたたき台に議論をおこなう、そのために4月末日までに意見をICOM本部に送るという話であった。ところがCOVID-19の影響で今年の総会は延期となり、ICOM日本委員会からは4月10日に意見がある人は今月末までに日本委員会あてにメールで送信するという案内があったのだった。

     以下は自分が本日送信したメールである。

     

    ICOM日本委員会さま

     

    博物館の新定義に対する意見をお送りします。

     

    1.ICOM規約第3条第1項の博物館の定義については、現行の定義のままとする。昨年の京都大会で議論された新定義は規約に組み込む定義としては現在的価値観が過剰でふさわしくない。博物館の定義は歴史的課題とは独立に博物館の機能と役割を明示した内容に留めるべきである。ICOMはヨーロッパ域内の国際関係を超え全世界的なNGOである。歴史や文化さらには価値観の共有が限られた国々や地域がともに行動できる定義に留め置く禁欲的な態度が求められる。

    2.新定義については、現在の経済的に発展を遂げた国や地域の博物館に与えられた課題が明確に表現されており、2020年代の博物館あるいは博物館界の使命として位置付ける。規約に組み込むか、別立ての文書とするかなど文書の地位については意見を持たない。
     

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    宇仁義和(うに・よしかず)